――今作はエグゼクティブ・プロデューサーに、ホラー映画『呪怨』(2000年ほか)などで知られる清水崇さんを迎えました。
小林:やはりホラーの部分を期待して清水さんにお願いし、作品にアドバイスをいただきました。ですが、“ホラー要素”と“強いヒーロー(レオンとクリス)”の組み合わせって、実はかみ合わないんですよね。ゲーム制作でも、いつも「ヒーローたちをどう扱うか」というのは苦労しています。
ただ、今作序盤の洋館でのシーンでは、「どう進んでいって何とどう遭遇するか」という点は、きっちりホラー物として出来ています。試写会などでも「怖い」と言っていただけていますし、清水さんの『呪怨』が大好きな私としては、清水さんらしさは作品に入ったのではないかと思います。
深見:洋館が出てくるのは、ゲームの初代「バイオハザード」(以下“1”)へのオマージュでもありますよね。ほかにも、ミラ・ジョボビッチ主演の実写映画シリーズへのオマージュだったり、辻本監督から清水さんへのオマージュも入っていますので、洋館のシーンは見どころがたくさんあります。
――洋館のシーンは緩急があり、非常に恐怖を感じました。
深見:怖さの演出といえば、清水さんから「レオンとクリスの子ども時代を出せないかな?」という話があったんです。
小林:それは僕がNGを出しました。レオンとクリスとレベッカは変に触りにくいので(笑)。
深見:やはり、いつゲームで語られるか分からない部分ですしね。今回の仕事ではレオンとクリスがまるで実在する俳優さんのようで、小林さんはそのマネジャーのような立ち位置でした(笑)。
――原作監修の仕事はそういった側面もあるんですね(笑)。
小林:「うちのタレントが!」みたいな(笑)。今回NGを出したのも、今後どのゲーム作品でどのキャラクターが出るかというのはまだ分からないので、下手に今作で彼らの設定を作ってしまうと良くないからなんです。シリーズ全体の世界観やキャラクターの生涯に影響が出てしまうので、彼らの言動はあくまで今作のエピソードで動かせる部分に留めました。
清水さんがおっしゃった「幼少期を描く」という手法も、ホラーの演出としては分かるので心苦しかったですが、それをやられるとカプコン的に困ってしまうのでNGを出しました。
ほかにも、クリスについては「仲間を失って落ち込んでいる」場面を描きたいという提案もありました。ですが、クリスは“6”の冒頭で「一個小隊を失って飲んだくれている」描写があり、かぶってしまうので避けてもらいました。
ただ逆に、レオンは“6”で仲の良い大統領がゾンビになってしまい、それを自分が撃ち殺してしまったという過去を持っているので、ロッジで苦悩しているシーンをOKしたという背景があります。
深見:小林さんには、言葉や行動がそのキャラクターとぶれていないかチェックしていただき、すごく助かりました。「レオンはこんな乱暴な言い方はしません」とか、「クリスは『てめえ』とか言いません」とか細かいチェックが入り、本当に“うちの事務所の俳優”という感じでしたね(笑)。
小林:スタッフの中では深見さんが1番ゲーム版をプレイしてもらっているので、シリーズの理解が深い深見さんがいることですごく助かりました。ですが、失礼ながら言わせていただくと、ファン目線の“バイオ感”と作っている側の感覚って、やっぱりちょっと違うんですよ。とてもお詳しいんですけれど、“ファンとしての思い”が入ってきてしまうところがあるので、そこは直させてもらったりしましたね。
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