上戸彩が主演を務める、2000年代初頭の人気ドラマ「エースをねらえ!」「アタックNo.1」がTVerにて期間限定で全話無料配信中。多くの人が惹かれてやまない上戸彩の“スポ根ヒロイン”としての魅力に、エンタメライターの苫とり子が迫る。
主人公と重なる上戸彩の歩み
1960年末〜1970年代、日本では「巨人の星」や「あしたのジョー」をはじめとした“スポ根”漫画が大流行していた。スポ根とは「スポーツ根性もの」の略語。スポーツに打ち込む主人公が、さまざまな困難を乗り越えながら成長していく姿を描いたストーリーとなっている。
その美少女版として一斉を風靡したのが、「エースをねらえ!」(作・山本鈴美香)と「アタックNo.1」(作・浦野千賀子)だ。「週刊マーガレット」(集英社)で連載された両作品は、社会現象ともいえる一大ムーブメントを巻き起こした。そんな不朽の名作が2000年代初頭、どちらも上戸彩主演で実写化されている。
簡単なドラマのあらすじを紹介しよう。「アタックNo.1」(2005年、テレビ朝日系)は、富士見学院バレー部に所属する主人公・こずえが、ある日突然全日本高校選抜のメンバーに選ばれるところから始まる。しかも、監督の猪野熊(船越英一郎)からキャプテンに指名されてしまうのだ。
一方、「エースをねらえ!」(2004年、テレビ朝日系)の主人公・ひろみもテニス初心者でありながら、新任コーチの宗方(内野聖陽)に見初められて代表選手に選ばれる。つまり、どちらもある種の“シンデレラストーリー”といえるだろう。
上戸彩の経歴も少し振り返ってみると、彼女は小学生の頃に「全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。歌手・女優として早々にデビューを果たし、「3年B組金八先生」への出演を機に一躍有名となった。
「エースをねらえ!」「アタックNo.1」がドラマ化された2004年、2005年はタレントCM起用社数ランキングで1位を獲得するなど、スター街道を突き進んでいた頃だ。多忙を極め、上戸彩としても荒波を乗り越えるための“根性”が必要だったはず。そんな彼女と、こずえやひろみの人生が重なり、ドラマは不思議な現実味を帯びている。