並木万里菜アナウンサーが「Mステ」の卒業を発表『私のルーツであり、今の私を作ってくれた大切な場所』
並木万里菜アナウンサーコメント
4年間担当した「ミュージックステーション」を卒業することになりました。番組をご覧いただいた皆さまにあらためてお礼と感謝を申し上げます。今は寂しさと緊張が解けたような気持ちの両方を感じています。自分のオンエアがあと数回しかないと思うと、それが4年間の私にとっての“金曜日”だったので寂しい気持ちがします。
その一方で、私にとっては歴代の先輩方から引き継いだバトン(Mステですとマイクになるのでしょうか)をつないでいくことが使命です。ですので、今年の9月をもってその役割を無事に果たせることができそうで安堵(あんど)もしています。
「ミュージックステーション」はタモリさん、アーティストの皆さん、それを支えるそれぞれの分野のプロフェッショナルがいて成り立っています。そのあまりにも大きな存在に、就任当初の私は「自分はなんでここにいるのだろう、ここに立たせてもらっていいのかな」と勝手にプレッシャーを感じ、立つことが怖いと思っていました。
そんな私が、ここまで強くなれたのはこの4年間皆さんに支えていただいたおかげだと思っています。タモリさんは本当に懐が深く優しい方です。初めてご挨拶に伺ったとき「向上心はいらない。反省はしなくていいんだよ」という言葉をいただきました。
挫折して落ち込んでいても、すぐに立ち直る。放送を振り返って「ここで失敗したな、だから自分は今落ち込んでいるのだな」と俯瞰して見ることで、かえって気持ちが楽になり、打たれ強くなったように思います。
また、生放送ならではのハプニングやすべての出来事をあるがまま受け入れて前向きに肯定することで、生放送の一瞬一瞬が輝き、明るく感じられるようになりました。タモリさんに助けられて進んできた中で、当初いただいた言葉の意味を私なりではありますが少し理解できたのかなと思っています。
スタッフの皆さんからは本当に多くのことを学び、助けられました。長い期間「ミュージックステーション」を担当しているあるプロデューサーから就任した際にかけられた言葉は「いまの並木には、何も期待していないよ。そのままでいいよ」という言葉です。
周りからは「大変だと思うけどがんばってね!」という言葉をかけてもらうことが多かったので、正直とても驚きました。ただその言葉があったからこそ肩の力が抜けたのだと思います。ありのままの自分を受け入れてくれるこの番組の下で成長させてもらおうと思えました。温かいスタッフに囲まれて、社会人として、人として成長できた4年間はかけがえのない日々です。
担当してきた中で一番大変だったことは、新型コロナウィルスの影響だと思います。コロナ禍でエンターテインメント業界、音楽番組が一気に様変わりし、「ミュージックステーション」も通常の放送形態をやめて、未曽有の事態に対応せざるを得ませんでした。
スタジオとは別の場所からの出演、たとえば自宅や別のスタジオからリモートパフォーマンスをしていただくことが増えました。思うようにいかずに大変なことだらけでしたが、スタジオに行けないからこそ、いまここでしかできない音楽を届けることに心血を注ぐアーティストの気概に感動しました。
そして私も新型コロナに罹患(りかん)してしまい、一度放送をお休みしました。初めて放送に穴をあけてしまい、皆さんにご心配とご迷惑をおかけしてしまったので、とても申し訳ないという思いでいっぱいになりながら当日オンエアを見ていたのですが、普段私がいかに多くの方に助けていただきながらお仕事ができているのかということに気付かされました。
初めは緊張しながら放送を見ていたのですが、いつの間にかタモリさんとアーティストの掛け合いや、パフォーマンス姿を純粋に一視聴者として楽しんで見ていました。「ミュージックステーション」の唯一無二の音楽番組としての存在の大きさを再認識する出来事でした。
番組を離れるタイミングで改めて感じるのは、「ミュージックステーション」は私のルーツであり、今の私を作ってくれた大切な場所だということです。「『ミュージックステーション』を卒業してからがスタートだよ」とプロデューサーからかけていただいた言葉に恥じないように、お世話になった大好きな番組に少しでも恩返しできるように、これからは奮励努力していきたいと思います。
そして「ミュージックステーション」を卒業された先輩方のように、私もさらに前に進めるように頑張りたいです。9月23日(金)「ミュージックステーション 4時間スペシャル」のお仕事が最後になります。タモリさんがかけてくださった「向上心はいらない。反省はしなくていいんだよ」という言葉を胸に、最後まで番組を楽しむことができるように当日を迎えたいです。