菅田将暉が、原田美枝子とダブル主演を務める映画「百花」が現在公開中だ。本作は、川村元気が原作・脚本・監督を務める愛と記憶の物語。過去のある“事件”をきっかけに、互いの心の溝を埋められないまま過ごしてきた葛西泉(菅田)と母・百合子(原田)。認知症の百合子が記憶を失うたびに、泉が母との思い出を蘇らせていく模様を描く。レコード会社に勤務している息子・泉を演じる菅田に、本作の撮影の記憶から自身にまつわる記憶まで、さまざまな“記憶”を聞いた。
「子供と大人の両方の感覚が同居している時期」
――本作は、自然な会話がたんたんと紡がれていく印象でしたが、そんな中でも頭に残る言葉が多かったように感じます。菅田さんが最も記憶に残っているセリフは?
僕、好きなセリフがあって、長澤さん演じる香織が、「最初、妊娠が分かったとき、正直そんなにうれしくなかったんだよね。だって好きにお酒飲んだりできないし」という言葉なんですけど。いいセリフだなと思って。泉はこれから子供が産まれる、そんなときに母親の認知症も進んでいきます。要は、子供と大人の両方の感覚が同居している時期だなって。
「息子と父親の狭間にいるときの漠然とした不安」
ものすごく個人的なことになるんですけど、撮影当時、ちょうど僕も結婚を考えていた時期だったので、そんなことを日々考えている時期でもありました。泉だけでなく、みんなそうだと思うんですけど、自分がいざ親になるってとき、幸せな未来はもちろんいっぱい想像できるけど、それに負けないくらい不安な気持ちもあるだろうなって。しかも、あの家庭環境で育って、過去、親にどうしても許せないことをされた経験をしている泉は、それが、より強いと思うんです。だからこそ、さっき挙げた香織のセリフがすごくリアルだと思ったんです。そんな息子と父親の狭間にいるときの漠然とした不安がこの作品では大事な気がしました。
9月9日(金)公開
出演:菅田将暉、原田美枝子、長澤まさ/北村有起哉、岡山天音、河合優実、長塚圭史、板谷由夏、神野三鈴/永瀬正敏
監督:川村元気
脚本:平瀬謙太朗、川村元気
音楽:網守将平
原作 : 川村元気「百花」(文春文庫刊)
主題歌:KOE「Hello, I am KOE」(ユニバーサルミュージック/EMI Records)
制作プロダクション : AOI Pro.
配給:東宝
海外配給:ギャガ
公式サイト:hyakka-movie.toho.co.jp
(C)2022「百花」製作委員会