ツンデレ&ニートが可愛すぎる異世界ヒロイン
そんなネタの話題性が先行しがちな本作だが、それらをまとめるストーリー構成、キャラクターの良さも大きな魅力になっている。おじさんの強烈なキャラクター性は言うに及ばず、ツッコミ役であるはずのたかふみが時折見せるズレた感覚も面白く、勝気だが恋には奥手な藤宮も可愛いし、何より異世界ヒロインのエルフ、メイベルはキャラ立ちが過ぎるほどの個性的な美少女だ。
エルフはおじさんに窮地を救われたことを機に好意を寄せるようになるのだが、その性格はお手本のようなツンデレ属性。ツンとデレの絶妙なブレンドが愛らしく、本作ファンからは“ツンデレエルフ”の愛称で呼ばれる人気キャラクター。またメイベルは、とある事情から引きこもり体質が染みついてしまった氷の一族の末裔。ファンからは、黙っていれば美少女の残念ヒロインとして愛されている。
「異世界おじさん」は異世界転生ではなくて、異世界帰り。異世界グランバハマルにいたときのおじさんの様子は魔法でYouTubeのように映像再生され、たかふみ、藤宮と共にさながら鑑賞会のように観ていくことになる。前述したようにツンデレエルフは明らかにおじさんに好意を寄せているのだが、悲しいかな、現実の恋に疎く、ツンデレ概念というものを知る前に異世界に渡ってしまったおじさんは彼女のアプローチにまるで気付くことがなく、異世界モノあるある、お約束フラグをことごとくへし折っていく。鈍感力の塊なおじさんが行ったあり得なさすぎる対応と、そこに嘆くたかふみと藤宮のツッコミぶりは毎話の楽しみになってくるところだ。
ちなみにおじさんの異世界ライフをワクワク冒険劇として期待していたたかふみだったが、おじさんの不遇ぶりはあちらの世界でも相変わらずだった。異世界で目覚めた直後、ブサイクが原因でオークの亜種として狩られかけ、タワシより安い値段で売られるという酷い扱いを受けている。重い…重すぎるけどオモシロすぎるよ、おじさん! この他、おじさんはどうして現代に帰還できたのか、微妙に接近していくたかふみと藤宮の関係など、先々のストーリーには気になるポイントが幾つも散らばっている。現在秋アニメは出揃い、人気作品がひしめき合っているものの、「異世界おじさん」の面白さは変わらず間違いない。第8話以降の放送で再びセガユーザーを盛り上げてくれることに期待したい。
セガの業を背負い、辛い人生を送ってきたおじさんだったが、今、たかふみとの共同生活は実に楽しそうだ。
文:鈴木康道