コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回はTwitterで1.5万件のいいねを集め、第12回コミチ漫画賞の大賞を受賞したうえはらけいたさんの作品『僕が学生時代に1番影響を受けた人の話』に注目していく。同作はnoteで開催された「#一歩踏みだした先に」をテーマにした投稿コンテストの参考作品で、正式なタイトルは『やまむーと僕たちの密かなる挑戦』。うえはらさんが美大を卒業する際の話を一部脚色したエピソードで、17ページという短編の漫画と写真1枚で構成されている。
素敵な思い出が生まれたキッカケは同級生の突拍子もないひと言!?
美大時代の同級生「やまむー」こと山村さんは、いつも新しいモノ作りに挑戦している女性。突拍子もないことを言い出しては実行する山村さんを、うえはらさんは「どこか羨ましい」と感じていた。卒業式を3日後に控えた日、またしても山村さんは唐突に「卒業式にみんなで風船を飛ばしたい」と提案。準備時間はほとんどない挑戦だったが、周りにいる人間がそれぞれの得意分野で協力していく。
ついに卒業式当日、教職員の配慮と生徒達による挑戦が実を結んだ。授与式終了後に卒業生達の手へと渡った風船が、空を飛ぶ。その光景を見たうえはらさんは、あることに気づき……。
『僕が学生時代に1番影響を受けた人の話』は、うえはらさんが学生時代に一番影響を受けた人の話として描いた漫画。同作の一部を添付したツイートは約1.5万いいねを獲得し、読者からは「たった数分で心を揺り動かされた」「素敵な話。忘れていた気持ちを思い出す」と絶賛の声が相次いだ。
そんな『やまむーと僕たちの密かなる挑戦』を書き上げたうえはらさんに、創作したきっかけや注目ポイントなどについてインタビューをおこなった。
挑戦する人に世界は優しい
――『僕が学生時代に1番影響を受けた人の話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
こちらは「#一歩踏み出した先に」という、note内でおこなわれるコンペの参考作品として書かせて頂いたものです。めちゃくちゃ僭越なのですが審査員をさせて頂くことになったので、それに伴って「うえはらさんの参考作も描いていただけますか?」と運営の方に言われて描いたという流れです。
コンペのテーマが「挑戦って素晴らしい、と思える作品」なので、始めは僕が会社を辞めて美大に行った時のことを書こうかと思っていました。ですがそれだとなんだか自分語りばっかりの漫画になってしまい、読んでいて面白いものになるかどうかわからなかったので僕が当時一番触発された友人のことについて語る内容に切り替えました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
今までにないくらい数多くの人物が1話に登場する話を描いたので、人物の描き分けにこだわりました。その全てにモデルがいるわけではないですが、「あー、こういう人いるいる!」と思いながら読んで頂ければと思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
漫画の中のシーンではないのですが、漫画の最後に載せた写真がとても良いと思っています。これは同級生でカメラマンになった友人が当時撮っていた写真です。この写真を載せさせてもらったことによって漫画の奥行きが大きく膨らみ、今までに描いた漫画にはなかった読み味にすることができました。掲載を快諾してくれた友人にはとても感謝しています!!
――これから新たなことに“挑戦”する人たちに向けてメッセージをお願い致します!
漫画でも描きましたが、挑戦する人に世界は優しいです。これは僕が生きていて何度も実感したことなので間違いないです。なので少しでも不安なことがあれば、じゃんじゃん周りを頼った方が得策だと思います。僕にもなにか力になれることがあったら、いつでもご連絡ください!
――今後の展望や目標をお教えください。
今後は自分が会社員をしていた頃の思い出をベースに、「働く人」を主人公にしたストーリー漫画を描きたいと思っています。(実はもう第一話は完成しています。「アバウトアヒーロー」という作品)。僕にとってサラリーマン生活は第2の青春だったので、同じように今お仕事を頑張っている方にとって少しでも救いになるような作品が作れたらと思っています。理想は「読むことで月曜が憂鬱じゃなくなる漫画作品」をつくることです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
今読んでくださっている皆さんが数年後に「俺、うえはらのこと初期から追ってるぜ」と自慢できるような人間になれるよう頑張っていますので、今後ともよろしくお願いします。
何気なく過ごす日常で得て、いつの間にか将来へつながっている気づきは多い。うえはらさんの作品で、「そういえば」と恩人の一言を思い出す人も多いのではないだろうか。
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