アイドル活動の合間に時間を作るのが難しかった
――なぜ「アイドル失格」というタイトルを付けたのでしょうか?
タイトルを決める時に、他の本を参考にしようと思ったら、太宰治の「人間失格」を見て“ビビッ”ときたんです。それを意識して決めました。
――ご自身の中の「アイドル失格」だなと思う部分はありますか?
本の執筆に行き詰まった時、夜中なのにめちゃくちゃ食べたくなって、ラーメンを食べに行っちゃいました…(笑)。夜中に書いているとついつい行っちゃいますね。
――では、執筆で大変だったことを教えてください。
アイドル活動の合間に時間を作るのが一番難しかったです。出番の合間や、メーク時間の隙間に書いていました。あとは、自分のアイドルの経験をどこまで入れたらいいんだろうってことに悩みました。入れすぎても重なってしまいすぎてよくないので…。
――アイデアが出ないこともありましたか?
ありましたね。「こういう感じのストーリーにしたい」というのはあるんですけど、それをどう書いたらいいんだろうと迷いました。書ける部分と書けないパートで別れていて、アイドルパートと、オタクパートの二軸で話が進むんですけど、オタク目線の方がスラスラ書けました(笑)。
見どころは「ファンとアイドルの恋愛」
――“ガチ恋”の部分はいかがでしたか?
自分がもともとアイドル好きでしたし、他のメンバーや自分にもガチ恋してくれていたファンが実際にいたので、「この人ってどうだったんだろうな」と想像しながら書き進めていました。他のメンバーに「こういう時どうする?」と意見を聞きにいくこともありましたね。
――やっぱり、見どころは「恋愛」の部分ですか?
一番キャッチーな部分としては「ファンとアイドルの恋愛」なので、そこが見どころです。内容としては、やりたいことや夢。これが本を通して伝えたいことで、アイドルもファンも同じ人間で将来に迷っているということ、夢を見つける大切さなどを伝えられたらいいなと思います。
――作中にはSNSが出てきますが、これは意識的に取り入れたんですか?
今はSNSを通して人と出会いますし、「友達に言えないことでもSNSには書ける」ってことが結構あると思うので、たくさん入れてみました。ファンが「アイドルが自分のSNSを見ている」とは思わないかもしれないですけど、意外と見ていたりもするので、推しがいる人にはドキドキしてもらいながら読んでもらえたらなと思います。あと、私的にはアイドルが読んだ時にどう思うのかすごく気になっています。
アイドルにもファンにも共感してもらえるんじゃないかなって。誰しもやりたいことや、悩んだりすることがあると思うので、密かに「そういうところで悩むよな」って共感しながら読んでほしいです。