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野沢直子「日本の笑いって高度」渡米で感じた“笑い”の違い…新しい世代の芸人には感心も

2022/10/19 08:40

人気絶頂で渡米した理由「『夢で逢えたら』で自分は全然面白くないと痛感した」

野沢直子
野沢直子※ザテレビジョン撮影


――野沢さんといえば、1991年3月にアメリカへ移住されていますが、当時人気絶頂にもかかわらず渡米した理由は何だったのでしょうか。

「夢で逢えたら」(フジテレビ系)という番組で、他のメンバーに比べて「自分は全然面白くない」と痛感したからです。私はこれといった下積みもなく、パッと売れてしまったこともあり、引き出しがないことに不安を感じていました。だから、自分の引き出しを増やすためにどこかで修業したいという思いがありました。それで、今思えばバカだなと思うんですけど、当時はニューヨークが舞台になったドラマなどが多かったので、「海外に行くならニューヨークだな」という理由だけで、ニューヨークへ行くことを決めたんです。

――事務所から反対はされませんでしたか。

事務所には「1年で帰ります」と大ウソをついたので、驚かれはしましたけど、反対はされずに一応許してくれました。私は最初から日本に帰ってくることはないだろうと思っていたんですけど(笑)。

――1991年の渡米以降、野沢さんは毎年夏の期間だけ帰国し、テレビに出演し続けてきました。今年はコロナ禍の影響で3年ぶりの帰国となりますが、久しぶりに日本の番組に出演してみて、どんな感想を持ちましたか。

新しい世代のお笑いの人たちに対して、みんな「すごいな」と感心しちゃいます。腕があるというか、進化しているというか。30年前、私が出ていた頃のテレビは行き当たりばったりの企画が多かった気がするんですけど、今はすごく緻密な計算のもとでやっているように見えます。

――30年間、1年のうちほんのわずかな期間しかテレビに出ないのに、その進化に対応できているのがすごいですよね。

いやいや、対応できているかどうかわからないですよ。それに、自分の中でテレビは、“反復横跳び”をしているような感覚があるんですよ。

出始めた頃のテレビは“なんでもあり”だった…「今のテレビで面白くするってすごく大変」


――反復横跳び、ですか。

80年代のテレビは、たとえるなら、反復横跳びの「幅」が広かったように思うんです。だから自由に動き回ることができたのですが、最近はその「幅」が狭くなりました。なので、ちょっとでも気を抜くとラインの外にはみ出しちゃう。要するに「ここまでは言っていい」「これは言ってはダメ」という線引きが体に身についていなくて。そのせいで、共演者の方にフォローしてもらうことも多く、申し訳なく感じることがよくありますね。

――その反復横跳びの「幅」というのは、いわゆるテレビにおけるコンプライアンスのことですかね。

そうです。そもそも私、テレビにコンプライアンスなんてないと思ってたんですよ(笑)。緩かっただけで、昔からあったということを、つい最近知りました(笑)。それくらい、私が20代で出始めた頃のテレビは「なんでもあり」でしたから。放送禁止用語も知らずに言いたい放題に言ってたし、今考えると酷いことの連続でした(笑)。だからこそ、「幅」が狭くなった今のテレビで、面白くするってすごく大変なことだなと思いますね。

――日本とアメリカのお笑いの違いはどんなところにあると思いますか。

笑いのセンスが全然違うと思います。やっぱり、「日本の笑いって高度なんだな」と離れてみてよくわかりました。

――どんなところが高度なのでしょう。

日本だと「重箱の隅をつつく」みたいな笑いが結構ありますけど、アメリカだと色々な移民が集まった国だから、みんながわかるような笑いにどうしてもなってしまう。そうすると、どうしても大味になりがちなんですよ。

――野沢さん以降、渡辺直美さんやピースの綾部祐二さんなど渡米する吉本の芸人さんが増えています。同じようにアメリカでの活動を志す後輩たちについてどんな思いでいますか。

本当にすごいなって単純に感心しています。直美ちゃんなんかはSNSで大人気ですし、ちゃんとエージェントに付いてもらってから渡米するというきちんとした段階を踏んでいますよね。単純に羨ましいし、素敵だし、とてもスマートなやり方ですよね。それに比べて私は、とりあえずアメリカへ行ってみて、コメディークラブのオープンマイクに出るとか、公園でパフォーマンスをするとかすごく行き当たりばったりで、本当にひどいなと思います(笑)。

――最後にメッセージをお願いします。

私と同年代の方は、老いていく自分自身に「こんなはずじゃなかった」と落ち込んでいると思いますが、子育てや仕事がひと段落した今、「この先、自分のためだけに生きていける」と考え方を変えたら、面白いことができる可能性が広がるはずなので、へこまずに一緒に頑張っていきましょう。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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