原菜乃華と松村北斗(SixTONES)が、10月25日に都内で行われた映画「すずめの戸締まり」の完成報告会見に、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、音楽と主題歌を担当するRADWIMPSの野田洋次郎、同じく音楽を担当する陣内一真、監督の新海誠と共に登壇した。
3年ぶりとなる新海誠監督の待望の新作
本作はアニメーション監督・新海誠の「君の名は。」「天気の子」に続く3年ぶりとなる新作で、日本各地の廃墟を舞台に災の元となる”扉”を閉めていく旅をする少女・すずめの解放と成長を描く冒険物語となっている。すずめの声に命を吹き込むのは、オーディションで1,700人を超える応募者の中から選ばれてた原菜乃華。扉を閉める旅を続ける”閉じ師”の青年・草太役を松村北斗が演じている。
完成した作品を見た感想を聞かれ、原は「言葉にできないくらい素晴らしいです。寝る間も惜しんで映像をギリギリまで作ってくださったスタッフの皆さんがいて、本当なら一緒に登壇したかったなって思うくらい素晴らしいものでした。そのスタッフの皆さんの熱意を、早く大きな画面で、大音量で、たくさんの方に肌で感じてもらいたいし、受け取ってもらいたいなって思いました」と感動した思いを伝えた。
松村は「魅力的なシーンを細かく挙げていくとキリがないんですけど、見終わった後に思ったのは、何度も笑って、そして何度も涙が出てきましたが、そのたびに笑った理由と種類が違っていて、涙の理由と種類も違っていました。自分の中に感性の幅がこんなにもあったんだなと思いました。こういうことで感動したり、救われたりして涙が出るんだなって、作品を見ているんだけど、自分を見ているような気持ちになる不思議な作品でした」と、いろんな感情が引き出された様子。
原菜乃華「アフレコは夢のように幸せな楽しい時間でした」
アフレコの様子について、原は「1カ月半ぐらい週2〜3回のペースで録らせていただいたんですけど、右も左も分からないまま現場に入ったので、新海監督が1から10まで、100まで教えてくださりました。ブロックごとに録っていくんですけど、そのパートが終わるごとに『菜乃華さん、すてきでした。ありがとう』って大好きな監督からそんな言葉をいただけて、”なんて夢のような幸せな時間だったんだろう”って。自分の声がうまく使えないことでヘコむ瞬間も数えきれないぐらいあったんですけど、アフレコは夢のように幸せで楽しい時間でした」と笑顔で答えた。
新海監督が原と松村のアフレコの様子を振り返り、「なんかサマーキャンプみたいでしたよね。2人がTシャツ姿で何かおやつを食べていて。2人にとっては楽しいだけではなかったかもしれないですけど、僕には色が1枚1枚鮮やかに塗り直されていくというか、自分が設計していたものがどんどんカラフルに、想像しなかった色に変わっていく幸せな時間でした。ありがとうございました」と2人に感謝の気持ちを伝えた。
松村は「誤解のないように伝わってほしいんですけど、新海さんが僕らの声を”楽器”と表してくれたことがありました。もちろん、僕の体から出てるものですけど、僕が演奏するよりも新海さんが演奏することで”草太”が完成するというのをすごく感じていて。”この音じゃないな”とか”このメロディじゃないな”とか、どんどん鍵盤を押し変えていく作業を新海さんが全部やってくれていたので、アフレコ中の苦悩や変化については草太役の僕よりも新海さんのほうが詳しいんじゃないかと思うくらい、僕の全てを預けた思いでした」と、新海監督に全面的に委ねていたと明かした。
新海誠監督「今日本で一番面白い映画かもしれない」
「『すずめの戸締まり』という作品にが自身にとってどういう作品になったのか、そして携わったことで得たものは?」という質問に、原は「間違いなくすごく特別な作品」と答え、「13歳の時に初めて『君の名は。』を見て、新海監督を知って、『新海監督の作品をリアルタイムで見られる時代に生まれてこられて良かったわ』って友達に話していた6年後に、まさか自分が携われるなんて夢にも思ってなくて。『本当にこんなことがあっていいんだ!』ってぐらい大切な作品になりました。たくさんの人に見てほしいですし、明日への活力になるような、今ある大事なものに目を向けさせてくれる作品だと思います」と本作への強い思いを伝えた。
最後は、新海監督が「まずはエンターテインメントを楽しんでください。もしかしたら今日本で一番面白い映画かもしれないので、楽しんでいただければいいなと思います。これからこの映画をよろしくお願いします」というメッセージを送り、会見を締めくくった。
映画「すずめの戸締まり」は11月11日(金)より全国東宝系にて公開。
◆取材・文=田中隆信
映画「すずめの戸締まり」
原作・脚本・監督:新海誠声の出演:原菜乃華 松村北斗 深津絵里 染谷将太 伊藤沙莉 花瀬琴音 花澤香菜 松本白鸚
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋堅一
美術監督:丹治匠
音楽:RADWIMPS 陣内一真