演じる葉蔵は「とにかく劇的でありたい」男、共感できる部分も
──間宮さんは阿部さん扮する「ツダマン」こと津田万治の弟子・長谷川葉蔵を演じられます。この葉蔵をどのようなキャラクターだと感じていますか?
葉蔵は、とにかく劇的でありたいんだけど、自身のバックボーンやこれまでの人生が全然劇的じゃないから、そこに対して異常なまでのコンプレックスを抱いていて。自分でどうにか劇的にしようとのたうちまわっている、そんな男だなと感じています。
──そのコンプレックス、間宮さんご自身は共感できますか?
うーん、さすがに今はないですけど、10代前半から半ばくらいまでは、映画の主人公や、いろいろなものを削りながら生きているロックスターと比べて、自分の日常がつまらないなというもどかしさは感じていたこともあります。だから完全にわからなくはないですね。
──その考えは今はもうないですか?
そうですね。今はどっちかと言うと、平穏であるほうがいいなと思います。昔は、他人からもよく言われていましたけど、生き急ぐように生きていたところがあったんです。寝ている間って時間だけが過ぎてもったいないような気がして、睡眠時間を削って映画を見たりしていた。でも今はそういうことはないし、むしろゆっくり生きたいと思うようになりました。何かきっかけがあったわけではなくて、ただ年齢を重ねる中でそう考えるようになってきただけかなとは思っていますけど。
30代を目前に、俳優としての転機を意識
──さらに葉蔵は「自己愛と名声欲の強い弟子」とのことですが、そこには共感できますか?
名声ですか…。いや〜、どうですかね。僕自身は承認欲求も強くないので、名声そのものというよりは、名声を得ることによって広がる可能性というか、「知ってくれる人が多くなったからこそ、こういう仕事が入った」というほうがうれしいですね。
──では逆に、この先で手に入れたいものや、今後叶えたいことは?
別荘ですね。東京じゃないところにも拠点が欲しいんですよ。今も休みがあったら釣りに行ったりキャンプに行ったり、気づいたら自然のあるところへ向かっているので、だったらそういう場所に自分の居場所のようなものをいつか作れたらいいなぁって。
──俳優としての目標のようなものはありますか?
あはは(笑)、別荘とか言ってすみません!俳優としての目標か〜。「これ」というものはないんですよね。それはこの仕事を始めたときからずっとなくて。ただ来年30代になるので、転機になるのかなという気はしています。というのも、自分たちの上の世代の先輩を見ていると、10代後半とか20代前半に一度ブレイクポイントというか、本人たちが競っているつもりはなくても「誰が売れるんだろう」と見られているようなところがあって、そこで一度、顔ぶれが決まってくるじゃないですか。そのあと30歳前後で、もう一度ふるいにかけられていたような気がするんです。俳優としての奥行きだとか包容力が増していろいろな作品に出ていく人と、そこで淘汰される人が出てくるという印象がある。だから自分にとっても、そこは一つのポイントになってくるのかなと。
舞台「ツダマンの世界」
2022年11月23日(水・祝)~12月18日(日) 東京都・Bunkamuraシアターコクーン公式サイト
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/22_tsudaman/
エイベックス・ピクチャーズ
発売日: 2023/03/03
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