<ドラマアカデミー賞>監督賞は「石子と羽男」チーム 毎回話題の寸劇は『見ていて誰もが分かるリーガル作品にしたいという思いで』(塚原あゆ子監督)
2022年7~9月放送ドラマを対象に開催した第113回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞の受賞者を発表中。監督賞は、有村架純・中村倫也W主演の「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」(TBS系)を手掛けた塚原あゆ子監督、山本剛義監督が受賞。弁護士とパラリーガルのコンビが現代ならではの問題に挑む同作では、「テンポいい展開の中に色調や映像へのこだわりがあった」「演技歴の浅いキャストの指導がうまい」と称賛する声が多数上がった。
一緒にやってくれた優秀なスタッフのおかげだなと思っています
塚原監督は「脚本を読み、取り扱う事件や問題は地味ですが、身近に感じられる部分が面白いなと思って。そこを評価していただけたのもうれしいですね」と受賞を喜んだ。
また、有村と中村の丁々発止のやりとりに加え、二人が冒頭で見せる事件の概要を紹介する寸劇も毎回話題に。塚原監督は「見ていて誰もが分かるリーガル作品にしたい」という思いで入れたと語り、「役者さんだけでなく、スタッフも頑張って作ってくれて」と細かなところにも俳優・スタッフが全力を注いでいたことを明かした。
スタッフへの思いは強く「“刑法○条”や“○○罪”といった専門用語を黒ベタに白文字で見せる視覚的な演出を考えてくれたのも、私ではなく編集マン。こうした賞をいただけるのは、一緒にやってくれた優秀なスタッフのおかげだなと思っています」と感謝を語った。
“ファスト映画”の回のラストのセリフは心に響きました
また、山本監督は脚本の西田征史氏に触れ、「西田さんの脚本には奥深さを感じました。特に、“ファスト映画”の回のラスト、山田(でんでん)のセリフは説得力があり、心に響きました」と振り返った。
W主演を務めた有村と中村への思いも。「お二人がうまく役割分担をされていて、お互いがお互いを引っ張り上げていき、硝子と羽根岡にリンクしていた。スタート地点だけ提示すれば、あとは2人が広げてくれるので、見ていて面白かったです」。
そんな同作は、ドラマアカデミー賞で監督賞の他、最優秀作品賞、主演男優賞(中村)、主演女優賞(有村)、助演男優賞(赤楚衛二)と5冠を達成している。
(取材・文=関川直子)