俳優の東出昌大が12月10日、都内で行われた映画「天上の花」の公開記念舞台あいさつに共演の入山法子、片嶋一貴監督、寺脇研プロデューサーと共に出席。本作の役どころに関して「こんな壮絶な役を今までにやったことがなかった」と語った。
「『新境地』と言っていただけた」
本作は萩原朔太郎の大回顧展「萩原朔太郎大全 2022」の記念映画として製作。萩原朔太郎の娘である萩原葉子の同名小説の映画化で、戦争の時代に翻弄されつつ詩と愛に葛藤しながら懸命に生きた者たちへの鎮魂歌となっている。東出が三好達治を、入山が朔太郎の妹・で達治の妻・慶子を演じる。
東出は本作について「友人の映画ライターや映画批評の方にも『新境地』と言っていただけた」とコメント。続けて「こんな壮絶な役を今までにやったことがなかったので、台本通り一生懸命やったらそういうふうに言っていただけた」としみじみ語った。
さらに東出は「芝居は自分一人でできることではない」と前置きをして「片嶋さんの演出・映画術というものがあって、プロデューサーさんが現場を下ごしらえしてくださって、入山さんとタッグを組んでこの壮絶な芝居・脚本に臨めた」と周りに感謝。続けて「みんなで一丸となって濃密な撮影期間を過ごして、それがこの一年経って今日ここに持ってこれて本当にうれしく思います」と公開の喜びをかみしめた。
同作は「“劇薬”だと思っています」
東出は本作を「精一杯生きようと思った人と人とが交わったときに何か影響を受けて、時には怪物になってしまったり時にはままならない状態に陥ったり…そういうところをありのまま描いた劇薬(のような作品)だと思っています」と表現。
続けて「そういう劇薬をたまには服用して、映画に触れたことで『なんなんだろう、人って』と考えてくださるきっかけになればと言ったら大仰ですが、みなさんにとってそのような映画体験になればいいなと思います」と熱い思いを口にした。
◆取材・文=山田果奈映