(森山)直太朗の名前が挙がったので直接電話をして依頼をしました
友達だから逆に頼みにくいという気持ちは、多くの人も共感しうる感覚だろう。その一方で、瞬間的に高まった感情を言葉に替えてぶつけるという衝動は、多感な10代のころならまだしも誰もが持ち続けられるものではない。だが、一青はこれまで一貫して、自分の心が動いたことに対して、無防備なくらいに素直に従い、詩をつづってきた。そうしたアーティスティックな感性を互いに認め合える仲間と本作を制作できたことは、20年の積み重ねがもたらした宝物に違いない。
「私は、いい詩が書けたと思うと誰かに『曲を作って』と、唐突に詞を送ってしまう癖があるんです。送られた方は大変ですよね(苦笑)。たとえば、『耳をすます』は、SNSで若い方の悲報に触れ、どうしようもなく心がざわついて、その夜に泣きながら書いたもの。武部さんに『この詞を曲にしたいのですが、誰がいいと思いますか?』と相談したら、直太朗の名が挙がったので、私から直接電話をかけて依頼しました。
直太朗とは1年に1度電話するかどうかという感じなのですが、電話のたびに私をからかおうと変なことばかり言ってくるんです。『もしかして、これから俺に告白しようとしてる?』とか、『やっと俺の魅力に気づいた?』とか(笑)。それを無視して、曲をお願いしたいんだけど…と話を切り出したら、今度は『そっか。じゃあ、俺のことが好きだったみたいな歌詞でもいいよ』みたいなことを言い出して(笑)。私には、後にも先にもそんな気持ちを持ったことは1ミリもないから書けないよと丁重にお断りしました(笑)」
収録曲
1. 僕をみて
2. 腕枕
3. ⽿をすます
4. i²
5. カノン
6. 6分
7. ⿊縁メガネ
8. ダイスキダイキライ
9. かたつむり
10. あひるの涙
11. あうん
ひととよう=1976年東京都出身。2002年「もらい泣き」でデビューし、各賞を受賞。NHK紅白歌合戦にも初出場する。2004年「ハナミズキ」が大ヒットを記録し、その後も話題作をリリース。デビュー前から音楽療法にも興味を持ち、病院や児童養護施設などでの歌唱も行っている。「一青窈 20 th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE ~アリガ二十」が12/25(日)にWOWOWプラスにて放送
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