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小倉唯が語る、10周年からのリスタート。『Love∞Vision』インタビュー

2022/12/26 20:00

小倉唯
小倉唯※提供写真

2012年7月、1stシングル『Raise』で自身名義の音楽活動をスタートした、声優・小倉唯。高校生だった当時を振り返って「まったく自信がなかった」と語る彼女は、10年の歩みを経て初めてのレーベル移籍を経験し、新たな一歩を踏み出す。12月21日リリースの『Love∞Vision』に収められている3曲は、これまでに積み重ねてきた表現者としての力と、これからの活動へのアグレッシブな姿勢を感じさせる。小倉唯が見せる充実の「リスタート」を、ぜひ目撃してほしい。

新しい挑戦をしたことへの達成感があります


――最新シングルの『Love∞Vision』は新たなスタートを記す1枚で、これからがとても楽しみになる内容だと感じました。このシングル全体について、どんな手応えを感じてますか。

小倉:今回、作曲という部分では挑戦的な内容なので、ファンの方からどんなリアクションが届くのか、いい意味で予測ができていなくて。今の時点ではドキドキした気持ちと、新しい挑戦をしたことへの達成感があります。

――挑戦的になれたのは、移籍後第1弾のリリースである、という背景も関係しているんですか。

小倉:そうですね。移籍後第1弾って、一度限りではあるので、今までの延長というよりもちょっと新しい風を感じていただけたり、新しい一歩を踏み出したりしているような印象を持ってもらえるといいのかな、と思っていました。よりブラッシュアップした自分の姿を皆さんに届けたかったですし、前向きに進んでいくところが伝わるといいな、と思います。

――今回のシングルは、「移籍後第1弾」がどうしてもトピックになると思うんですけど、これまでの音楽活動10年間も、充実した時間だったのではと思います。このリリースに向けての気持ちの動きを教えてもらえますか。

小倉:ある意味で、重い決断だったと思います。気持ちとしては、不安もあるし楽しみでもあり、半々でした。今まで自分が歩んできた10年って、年齢的にも、学生のときから20代にかけての人間が形成される貴重な年月を過ごしていたと思っていて。そういった意味では、今までの自分の常識が覆されたり、新しい気づきや発見もあったりするんだろうな、と思ったりしました。だから、楽しみな気持ちのほうが上回ってはいたんですけど、何が起こるかわからないドキドキ感もありました。前向きに活動できていることは、きっとファンの方にも体感していただけると思いますし、ファンの方たちへ恩返しがしたい気持ちでいます。

――収録曲3曲の中で、作詞・作詞にもチャレンジしているんですね。3曲の中で、作詞も作曲も自ら担当したいと考えた背景を聞かせてください。

小倉:作曲に関しては、いつかできたらいいなと思っていて、ひとつの目標でした。今回は移籍後第1弾のシングルが出るということで背中を押していただいて。チャレンジすることになりました。作詞は、今までにも何曲か自分で手がけてきて、自分でも作詞が好きなんだなって気がついて。自分が体現したいもの、表現したいことのコンセプトが見えていると、そこに向かって言葉が浮かんできて、それがすごく楽しいです。なので、作詞は自然な気持ちの流れでチャレンジした感じです。もちろん、今までにも出口が見えなくなって悩んだことはあるんですけど、作詞は決まっている音にいかに上手く言葉をハメ込むかの引き算な部分があって、考えているのがすごく楽しいし、やりがいを感じます。

――新しいチャレンジも含む中で、制作にはどんな準備をして臨んだんですか。

小倉:今回に限らずではありますが、シングルでどういう世界観を表現するのかの主軸やテーマは、自分から言葉を並べて提案させていただきました。曲の雰囲気やテンポ、軸となるものを最初に自分でいろいろ考えて、決めていきました。アイディアを発信して、そこを踏襲いただいて作った今回のシングルは、わたしが思い描いていた以上に、作曲家さん・作詞家さんたちのお力もあり、素敵な1枚になりました。

――表題曲“Love∞Vision”は、共作で作曲を担当しているわけですが、譲れないポイントとしてはどんなものがありましたか。

小倉:しっとり、とまではいかないけど、メロディアスな雰囲気で、ちょっと癖になるメロディが入っている曲にしたくて、そこは少しチャレンジだったと思います。曲を聴いたときに感じる懐かしさ、尊さ、神々しさ――それこそ「ビジョン」のようなものを感じてもらえるような、神秘的な曲にしたい気持ちがありました。あとは、サビを2段階に分けて構成しているのも、ひとつポイントです。今までとはちょっと違う感じで変化が出せたらと思いましたし、聴けば聴くほど魅了されていくような、ちょっと不思議な曲にしたかったです。

――これまでの音楽活動で数多くの曲を歌ってきたことで、積み重ねを打ち出せる、今ここで表現できたジャンルの曲なのでは、と想像しました。

小倉:そこはあるかもしれないです。「自分のオリジナリティって何だろう?」って考えたときに、いろんな楽曲に挑戦して、歌ってきて、積み重ねた自分の表現の幅や、楽曲に向き合う姿勢は、“Love∞Vision”に踏襲できた手応えはあります。

――「自分のオリジナリティ」というのはまさに今回のキーワードかもしれないですね。新しいスタートを切るにあたって、得意なことや「らしさ」は改めて意識したのでは、と思いますが、これまでと現在の「自分らしさ」について、どう考えていますか。

小倉:人によって、わたしに対して抱いている印象が違うんじゃないかなって思っていて。たぶん、デビュー当時からアーティスト活動を見守ってくださってる方から見たら、「ずっと成長し続ける人」の印象を抱かれてるのかなって思います。最近知ってくださった方から見たら、これだけダンスが踊れる人なんだ、とか、声優でありながらいろいろな音楽やる人なんだ、みたいな印象を持っていただいてると思います。声優、そしてアーティストの立ち位置になってから10年以上が経過しているので、出会ったタイミングによって、いろんな方がいろんな印象を持っているんだろうなと、日々感じます。

なので、今回のシングルは3曲入りですけど、構成するときにもそこは意識しています。表題曲は、自分がチャレンジした姿を皆さんに受け取っていただきたいですし、2曲目の“Dramatic!”は過去から現在にかけて見守ってくださってきたファンの方により響くような、自分の心情を乗せたいな、と思っていました。3曲目の“Precious.”は、自分の中にあるギャップというか、意外性を改めて表現した曲です。ダンスがとってもカッコよくて魅力的な曲なので、パフォーマンス面においてもわかりやすく自分の一面を提示できるものになるんじゃないかな、と考えていました。

――今回は共作ですが、表題曲の“Love∞Vision”は、“Raise”や“Future Strike”と同じように、節目となる大事な場面で俊龍さんの楽曲を歌うことが多いですね。

小倉:今までの楽曲を振り返ってみても、ある種ターニングポイント的な場面において、俊龍さんの曲に支えられてきているな、と感じています。もちろん、その都度深い計算をしているわけではないですし、めぐりめぐって、自然に出会った曲たちもある中で、俊龍さんの――なんだろう、「人間パワースポット」じゃないですけど(笑)、そのくらいお力を感じることがあります。確かに、今までいろんな楽曲に支えられてきたからこそ、今回のシングル制作でも真っ先に俊龍さんのお名前が自分の中で挙がってきました。ファンの方も、クレジットが出たときに、「俊龍さんか、これは間違いない」みたいなリアクションをしてくださった方が多くて、そこはわたしも皆さんと同じ気持ちです(笑)。

下に続きます
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