沢村一樹は「あらゆる球を大きな懐で受け止めてくれる」
――共演の沢村一樹さんの印象をお聞かせください。
それぞれの人格で沢村さん演じる獅子舞に向き合うため、僕からあらゆる球を投げさせていただいたのですが、沢村さんが本当に大きな懐で受け止めてくれるので、沢村さんとのお芝居は楽しいです。やっぱりその場で生まれるものがたくさんありますし、目の前のキャッチボールを大切にしてくださるので、いい距離感でお芝居させていただきました。
――ドラマの中で、「人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている」という沢村さんのせりふがありますが、竹内さんもご自身で使い分けている顔はありますか?
意識的に変えているわけではないですが、例えば、仕事をしているときと、家に帰ってからでは違うと思うんです。そういう感覚で、みんな知らぬ間にいろいろな顔を使い分けていると思うし、その状況に応じてコミュニケーションを取って生きていくので、おのずと変わっていると思います。
僕だったら、ドラマを撮影していく中で「このチームではこの佇まいがいいのかな」と自然になっていきますし、考えれば考えるほど、だんだん順応していく感じです。
――ドラマタイトルにちなみ、作品について「密告」したいことがあれば教えてください。
このようなすごく難しい題材をドラマで扱おうという気合が僕は好きです。僕が感じたことや思いついたアイデアをすごく尊重して受け止めてくださるチームで。だからこそ、すごくいろいろなアイデアが飛び交いました。
積極的に寄り添ってくださって僕はすごくうれしかったですし、こういうふうに、ちゃんといい作品は作れていくんだなと感じました。現場はすごくいいチームですし、各部署がこだわりをもっていて、ライティングもすてきです。
――最後に、視聴者にメッセージをお願いします。
DIDというとあまり聞きなじみはないかもしれないですが、そういう症例に苦しんでいる方がいることを今作を通して知り、たくさん勉強した上で臨みました。
今回の交代人格は、自分を守るためだったり、自分の目的やゴールに向かってゴールテープを切るために歩んでいきます。かつてしまい込んだ愛情や、人間の欲というものを、交代人格が一生懸命補っていくさまが見どころです。
すごく人間味のある分厚いドラマになっています。僕と沢村さんの、生感というか、繊細な、リアルな掛け合いを体感していただきたいです。