濱田岳×草刈正雄の絶妙なコンビに注目
ーー“後の江戸川乱歩”となる平井太郎役を演じるのは濱田岳さんですね。
櫻井氏:この企画が動き出して最初にやったのは、濱田岳さんに連絡をすることでした。くさくさして世の中に不満を抱えていて、こんな世の中だめだ、俺なんか嫌だ、と思っている乱歩の若き日といった難役を演じていただける力量があるのは、岳さんだと。あとは、若かりし日の乱歩のかわいらしい風貌ともどこか重なる部分があると思いました。
安達氏:太郎はくすぶった感じをわりと強い言葉で出すようなセリフもたくさんあり、主人公として嫌な奴に見えないようにする必要のある難しい役なのですが、最初にちょこちょことレベル合わせができたら、その後はもうさすがは濵田さん。どんどん役自体を引っ張ってくださいました。
ーー草刈正雄さん演じる名探偵・白井三郎も非常に魅力的です。
櫻井氏: “バディーもの”にしよう、と決まった当初考えていたのは、「世の中の酸いも甘いもいろんなことを知り抜いている中年探偵」と、「青く純で、世の中に対してくさくさしている太郎」の2人でした。
でも後日、坪田さんから「中年ではなく、“じじい探偵”にしたいです」というご提案がありまして。白井三郎は生きづらい若者たちの心の叫びを受け止めてくれる大切な役になるのですが、太郎はギラギラした中年のおじさんとは絶対仲良くなれないのではないかと。
そこで、ギラギラしていてはおらず、非常に強い“じじい探偵”という、ファンタジーの面白さを体現してくれるような人を検討する中で、「草刈さんがやってくれたらいいよね」ということになりました。
最終的に草刈さんには出演交渉時にお伝えしていた内容をはるかに超えたアクションをお願いすることになり、最初はかなりおののいていらっしゃいました(笑)。でもやっぱり銃の構え一つとっても、「さすが草刈さん」という魅力たっぷりに、役を演じぬいていただいています。とにかく岳さんと草刈さんの2人の丁々発止がとても魅力的なので、ぜひ皆さんに楽しんでもらいたいと思います。
安達氏:最初は草刈さんにどこまでお願いしていいものか探り探りだったのですが、いざ撮り始めてみるともう“切れ味”がすごくて。若い頃からいろんなアクションを経験されてきた方なので、ちょっとした構え一つとっても様になります。最初は「いやもう忘れちゃったよ」なんておっしゃっていましたが、どんどんご本人も楽しくなってくださったみたいで。往年の草刈さんとご一緒できたような感覚になるほど、楽しんでアクションシーンをやっていただけたように思います。
ーー第1話では、三郎を中心に繰り広げられる華やかなアクションシーンに目を奪われました。
安達氏:今後も基本的に毎回アクションシーンがあります。最後にはすごいことが起きると思っていていただけたら(笑)。「探偵ロマンス」ではハードなアクションというよりも、楽しめる、笑えるアクションをやりたいという思いがあり、ピストルが当たって打たれたときにあえて血のりを出さないなどの工夫をしています。また、基本的にはCGなどは使わず、ワイヤーアクションを使ってアナログに役者さんが演じていただいています。
櫻井氏:草刈さんには、ちょっと笑ってしまうようなエンタメ性のあるアクション、みたいなものをご理解いただき、チャーミングに表現してもらっています。三郎の大立ち回りを見た太郎は「なんてじじいだ!」と驚きを見せますが、そういった部分も世の中こんなものだろう、と思っていた太郎の扉を開くことにつながっているんじゃないかと思います。
ワイヤーアクションについては、草刈さんだけではなく濱田岳さんも松本若菜さんも、尾上菊之助さんも吊られています。草刈さんは「大丈夫なのか、尾上菊之助さんにあんなことをして…?」とおっしゃっていました(笑)。楽しみにしていてください。