柳楽優弥主演のヴィレッジ・サイコスリラー「ガンニバル」の第6話「予感」が1月25日に配信された。これまでに、“顔を喰われた男”寺山京介(高杉真宙)に会い、オカルトサイト「クロニクル」を運営する宇多田(二階堂智)から“カニバリズム(人肉嗜食)”について話を聞いていた大悟(柳楽)は、“供花村で人が喰われている”ことを確信。村民たちへの不信感も募るばかりで、やや暴走気味に真実を探るために奔走する姿が目立ったが、その裏にある“正義の味方の駐在さん”としての矜持(きょうじ)、ある種の退路を断って真相を暴こうとする姿勢にゾクゾクした。(以下、ネタバレを含みます)
同作は、2018年に連載がスタートした二宮正明のサスペンスコミック「ガンニバル」を実写ドラマ化したもの。都会から遠く離れた山間にある供花村が物語の舞台で、事件を起こして村の駐在として左遷された警察官・阿川大悟が主人公。一見、犯罪とは無縁に思われるのどかで平和な村だが、一人の老婦人の奇妙な死をきっかけに、大悟は少しずつ村の異常性に気付いていく。
主人公である、狂気の世界へと誘われていく警察官・大悟役を柳楽が務め、供花村を支配する後藤家の新当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希役を吉岡里帆、顔を喰われた青年・寺山京介を高杉、村のリーダー格のさぶを中村梅雀が演じ、毎週水曜にディズニープラスの「スター」で世界同時配信中だ。
不穏なうわさが確信へ
今まで隠れていた真実を確信したのは、第6話冒頭で、供花村のリーダー的存在・さぶの娘・加奈子(山下リオ)から聞いた話がダメ押しとなった。3年前に出産した時、赤子を取り上げたのは村で唯一の助産師だった後藤銀(倍賞美津子)で、「この子、息がねぇ」と言って、抱かせてももらえず連れて行かれた、と。しかも、去り際に銀は笑顔を浮かべていたということも証言。
加奈子がいなくなったことで、さぶたち村の者が駐在所に押し掛けてきた。さぶが声を荒らげて一喝し、上田仁(松浦祐也)もいつものように大悟に突っかかってきて、「おまえは何をかぎ回っている?」と暴力で問い詰める。これまでは自分の感情を抑えてやり過ごしてきた大悟だったが、いろんな人に話を聞いて“確信”に変わったことで、“抑える”ことをやめた。「折るぞ」と仁の指を折ろうとし、投げ飛ばし、そしてキツく首を絞めていく。思わぬ大悟の逆襲にさぶたちは何もできずに棒立ち。「俺は後藤家について調べてた。おまえらにそんな話できねぇだろ。だから一人で調べてた」と包み隠さず伝えると、さぶたちは不満そうな顔をしながらも引き下がった。見るからに悪な後藤家の連中も、陰湿な村人たちもそれぞれ怖さはあるが、“正義側の住人”大悟の狂気がやっぱり一番怖いのかもしれない。
このことが物語を大きく進展させることになった。仁が恵介ら後藤家の者に大悟とのことを話し、「アイツは危険ですよ。殺したらどげんです」と進言。その翌日、恵介は大悟のもとを訪れ、狩りに行こうと誘う。
ましろがまたしても行方不明に
大悟が狩りから帰ると、娘のましろ(志水心音)が家から抜け出して行方が分からなくなっていた。妻・有希と合流するがまだ見つかっていない。供花村の人たちが総動員で捜してくれていたが、不信感でいっぱいの大悟は「本当に何も知らねぇのかよ」と恫喝。狩りに行くとは村の者の誰にも言ってなかったのになぜかさぶが知っていたことも分かり、「この村の人間は誰も信用してねぇよ」と言い放ち、「ましろがいなくなったことに少しでも関わっていたら殺すぞ」と凄んだ。結局、村の子どもと一緒にホタルを見に行っていたところを保護されるが、これは大悟がにらんだ通り、さぶたちが仕向けたことだろう。
大悟は過去も今も自分の中の“正義”のために突っ走っていきそうになるが、それにストップを掛けられるのは有希だけ。“後藤家のことを調べてる”と大悟がさぶたちに言った後、「なんか楽しそうじゃない?」と言ったり、ましろが見つかった後に大悟が「供花村では祭りで人を喰ってる。おまえたち2人のために(調べている)」と伝えた時にも「“私たちのために”って思ってるなら3人で村から出ようって言えばいいじゃん」と反論し、諫めた。
有希は、多少嫌なことがあったとしても我慢して娘のためにも供花村に溶け込もうとしている。だからこそ、大悟の自分勝手な行動に腹を立てていた。「最近のあんた、異常に生き生きしてたもんね。全部自分のためにやってんだよ」と痛いところを突かれ、後日、大悟は「3人でこの村を出よう」と言って、車に乗って3人で村を出て行った。