鈴木亮平の登場に対する視聴者の考察に手応え
――視聴者の方が、ドラマの考察をしている投稿を目にするのですが、印象に残っている考察はありますか?
鈴木亮平さんが3話の終盤に出られたのですが、闇医者チームがエース、ジョーカー、クイーン、スペードといったトランプのキャラクターの呼び名で呼び合っているので、「もしかしたら鈴木さんはキングなんじゃないか?」「ジャックなんじゃないか?」という考察を見た時は、我々としても手応えを感じました。
あとは、下山田がよく行く日本酒バー「吉将富士」の女将の一福(星野奈緒)さんが下山田の愛人なんじゃないかという声があったり、一福さんに対する藤原さんの受けのお芝居について考察してくださる方がいらっしゃったり。役者さんの一つ一つのお芝居が繊細なので、それを視聴者の方が感じ取って、意味付けしてくださるのはすごくうれしいです。
ちなみに、三石琴乃さん演じるPOCが占いをする際に「ヨキオシオッテツワカニキツ!」と放つんですが、逆から読むと三石さんがかつて声優を担当されていた「セーラームーン」の決めゼリフ「月に代わってお仕置きよ!」となるんです。そういうちょっとした遊び心を感じ取って反応してくださるのも、うれしく思っています。
――考察以外で印象に残っている感想はありましたか?
2話で、柄本さん演じる坊城が病気になって眼球が黄色くなるシーンがあったのですが、目の色がリアルだったせいか、SNSでは本当に柄本さんの体調が悪いんじゃないかとつぶやかれていました。実際には、目の部分はCGで黄色くしていたのですが、それぐらいリアルに表現するようにしています。
18歳・日向亘が積極的に取り組む姿に感動
――大御所の方々が出演される中で、18歳の日向さんの熱演も話題になっています。現場での日向さんの印象を教えていただけますか。
もちろん緊張されていると思うのですが、妻夫木さん、藤原さん、松下さんに対して全く物おじせず、飄々と白瀬という役を演じてらっしゃるなと感じています。控室では共演者の方々と明るく会話をされていたり、制作発表会見では妻夫木さんや藤原さんにいじられてムードメーカー的な存在になっていたり。日向さんの安定感のあるお芝居とコミュニケーション能力の高さに驚かされています。
――現場での日向さんの姿で、印象的だったことはありますか?
白瀬はずっと多面体パズルをいじっているのですが、あれは日向さんの提案なんです。日向さんは多面体パズルが得意ということもあり、パズルをいじりながら喋ったりパソコンを操作したりしたら面白いんじゃないかというアイデアを自ら監督にプレゼンしてくださって、取り入れられました。大御所の方々がいらっしゃる中でも自らアイデアを出して積極的に取り組まれている姿にとても感動しました。
堤幸彦監督の現場は「気持ちよく笑顔を交えながら進んでいく」
――今回演出を担当されている堤監督とは、ご一緒されてみていかがですか?
学生時代からずっと堤さんの作品を見てきたので、今回POCさんや警察チームの面々など、堤さんにしかできないアイデアをドラマに取り入れてくださったり、編集室で堤さんが指示を出されている姿を後ろから拝見したりすると、すごく感動します!
――堤監督の演出やアイデアで印象的だったエピソードはありますでしょうか。
堤さんのご提案ですごいなと思ったのは、オペ室の上にある無影灯です。僕らは“ラフレシア”と呼んでいるのですが、カブトムシが羽を開くようなオペ室がいいんだという堤さんのアイデアに美術スタッフが答えて、近未来的なオペ室が出来上がりました。完成したオペ室を見た時は顎が外れそうになりましたが、その後、オペ室を作ったことによる美術費を見て、もう1回顎が外れそうになりました(笑)。
――制作発表会見では、堤監督の“むちゃぶり演出”のお話が出ていましたが、キャストやスタッフの方々が堤監督の要求に苦戦されるようなことはありましたか?
堤さんの演出に対して、「ちょっとこれは大変だな」というふうにはならないんです。キャスト、スタッフ共に本当に気持ちよく笑顔を交えながら現場が進んでいくので、そこが堤さんのすごいところなんだなと思っています。僕がADをしていた時に、監督とキャストやスタッフの意見がぶつかる現場を数多く見てきたのですが、堤さんはそういうことが無いんです。
――それは、皆さんが堤さんに信頼を寄せているからなのでしょうか。
そうですね。あと、堤さんは役者さんが思っていることを先に感じ取って演出されているんじゃないかなと思うんです。僕には図り知れない領域なのかもしれないのですが、プロフェッショナル同士のあうんの呼吸というのがすごくあるのだと思います。