大きな目をぎらつかせ、ほとんど言葉を発しないキャラクターながら、さすがは忍者集団を束ねる存在。町娘から遊女、武士などどんな人物も演じ切る変装の達人だという。
実際、第8回では農家のおかみさんといった風情で本證寺の寺内町に潜入し「たんと食べり」と笑顔で人々に握り飯を手渡すなど、忍者たちとともに控えている時とは様子がまるで違う。ムシロを掛けられ死人になりすました半蔵が運ばれてくると、「あんた? あんた! 目ぇ開けり! あんた~っ!」と泣き叫ぶ迫真の演技も披露した。
また、家康の母・於大(松嶋菜々子)は明るくサバサバしていながらも、いざとなれば「妻子など切り捨てよ」と言い放つ、武家の女子(おなご)の気概を持った女性。
家康の妻・瀬名(有村架純)はおっとりしているようで賢く、家康にも遠慮なく意見をぶつける気の強さを持つ。のちに非業な最期を遂げる“築山殿”としても知られる瀬名だけに、家康とのほのぼのとした夫婦関係が今後どう変化していくのかも注目ポイントの一つだ。
サムライたちの駆け引きや絆のドラマに加え、女性たちのしたたかでしなやかな立ち回りもドラマチックに描かれる「どうする家康」の戦国時代。3月5日(日)放送の第9回「守るべきもの」では、家康が一向宗との戦いに一つの決断を下す展開が描かれる。千代が新たな動きを見せる場面もありそうで、家康の周辺の女性たちから今後も目が離せない。(文=ザテレビジョンドラマ部)