壇先生の半歩後ろを意識
そんな和田は、弁護士・浜崎(はまさき)を演じる上での役作りを聞かれると「僕の役も実際のモデルの方はいらっしゃるんですけど、お会いしていないですし、あまりいろんな事前情報を得られているわけではなかったので、役作りというよりは現場でのいかた、役割みたいなものを意識していました」と語る。
続けて「壇先生の半歩くらい下がった所から見る、という感覚。浜崎のささいな一言がきっかけで、金子さんに実際に裁判でシミュレーターを使って実践してもらうことを壇が思いつくというシーンがあって。あれを見た時、仕事で悩んでいる夫が家に帰って来た時、妻のささいな一言で『なるほど、これだ!』とヒントを得てその仕事を乗り切るという空気感にすごく似ているなと。僕はどこか古き良き昭和のお母さんみたいな感じで、夫の後ろ…いや、壇の半歩後ろで、時には小言を言ったり、時には支えたりというのを意識して演じていました」と、細やかな役へのアプローチを明かした。
それを受けて、三浦が「いや~…気付いてなかったっす」とばつの悪そうな顔を見せると、和田は「気付かないですよね。気付かないのが妻の役割ですので」と“夫”を立てる。
そして三浦が「本当に今ありがたさをあらためて実感しました」としみじみ感謝を述べると、和田は「ここで(東出と三浦を指して)さっきずっと、友情がどうのこうの言ってたでしょ? ず~っと嫉妬しながら見てました」とヤキモチを妬き、三浦が「いいじゃないですか(笑)。妻の方が関係も深いんで、本当に」とタジタジに。
監督「和田さんがうまくまとめてくれた」
慌てて東出が「でもみんな『う~ん』と苦悶するシーンが多い中で、和田さんの演じる浜崎のポンポン入る間がすごいなって監督もおっしゃっていましたよね」とフォローすれば、松本監督も「そうですね。間を埋めてくださると言いますか、皆さん個性が強い役者さんの集まりの中で、それをうまく和田さんが一つのシーンとしてまとめてくださっていたなと現場でずっと感じていました」と称賛し、和田は「やっと言ってくれましたね(笑)。ありがとうございます!」と、うれしそうな表情を浮かべていた。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)