坂口健太郎が3月27日に都内で行われた映画「サイド バイ サイド 隣にいる人」(4月14日[金]全国公開)の完成披露舞台あいさつに、齋藤飛鳥、市川実日子、伊藤ちひろ監督と共に登壇した。
“すっきり爽快で、ものすごく面白かったね”っていうジャンルの作品ではない
同作は、行定勲が企画・プロデュースを担当。そこに存在しない“誰かの思い”が見える青年・未山(坂口)が、他者の思いを辿ったことをきっかけに、自分の過去と向き合う様を描いたラブストーリーとなっている。未山の元恋人・莉子を齋藤が、未山と生活を共にする看護師・詩織を市川が演じている。
本作について坂口は「見終わった後に、“すっきり爽快で、ものすごく面白かったね”っていうジャンルの作品ではないんですね。監督が余白の部分を大事にしたり、説明する部分を敢えて端折ったりしていて、今って言語化してものすごく伝わる作品が多いと思うんですが、この作品はそういう部分を減らしてお客さんに投げかけるような作品でもあると思います。投げかけて、お客さんが受け取ってくださった時、どんなものが生まれるのか楽しみでもあります」と、見た人それぞれ受け取り方が違う作品だと語った。
捉えどころのないところや人に与え続けるサービス精神が共通点
坂口と“未山”の共通点について、伊藤監督は「一見とらえどころのないようなところや、目の前の全てを受け入れてしまうようなところ、人に与え続けるようなサービス精神が共通している」と話すと、坂口は「ちょっとドキッとすることがあるんです。僕=未山ではないんですが、人と話す時に自分が作り出すオブラートみたいなものがあって、監督にちょっとずつバレてるなっていう時がありました」と明かした。
そして、坂口は「さっき実日子さんが初号試写で見た時と、皆さんに取材していただくためにもう一度見た時は違う作品に見えたとおっしゃってたんです。本当にそれっていいことだなって。余白が多いからこそ、考えるタイミングで取り入れることも全然違うと思うんです。そう考えると、『この作品はこういう終わり方です』というのは明言しづらいですね」と見るたびに印象が違ってくる作品になっているとも話した。
最後は、「今回の作品は伊藤監督がメガホンを取ってくれて、一つ一つのシーンが丁寧に作られていて、一つのシーンをみんなで探しながら未山や他の方のキャラクターも作っていきました。見る方によって、見る方の環境によっても捉え方がさまざまだと思います。すごく挑戦的でもあり、見る人の心を豊かにしてくれる作品だと思います」と作品の魅力をアピールして締めくくった。
◆取材・文=田中隆信