穣が質問してもごまかして答えない豊
過去を思い出す豊。「今日からうちの家族の一員だから本当の家族と思って遠慮しないで」という父に「嫌なんだけど?弟とか要らないし」という兄。給仕された食事のマナーが豊はわからず、隣の父を見よう見まねで恐る恐る豊が手を出すと、「お前、食べ方も知らねーの?なんかコイツいるとメシまずくなる」と兄に冷たく言い放たれるのだった。
一緒にカレーを作る豊たち。穣がカレーに入れる肉が家によって違うことを話し、「豊んちは?」と聞くと、豊は黙ってしまう。ごまかすように「チョコレート入れると美味しくなるんだよ」と豊は種に話しかけ、穣はそんな豊を見て顔を曇らせる。
3人で出来上がったカレーを食べ、豊が美味しいと言って穣を褒めると照れる穣のようすがかわいい。種はおかわりもして満足気に寝転がり、ぽんぽんのお腹を「触って触って」と豊に触らせる。種が可愛すぎて、シリアスな回でも種が種でいることに心からホッとして救われ、種に感謝してしまう。
穣は豊のようすを見ながら「今日会ったお兄さん、あんまり顔似てないね。このあたり住んでるの?」と聞き、豊が気まずそうに目を泳がせると、穣は察したようにうなづく。穣にしては踏み込んで豊に語りかけたものの、豊が話しづらそうにするとそれ以上は聞かずに話を終わらせるのが切ない。思わず穣を応援したくなってしまう。
日が暮れて豊が帰ろうとすると、穣は言葉を探しながらおずおずと「大丈夫?」と聞く。豊はわざと明るい表情を作って「何が?」と返す。壁を作ってしまう豊と、それ以上は立ち入ろうとしない穣。もどかしくやるせないが、このペースが2人には合っていると思えて、なおさら2人を応援したい気持ちが募る。
ひとり暮らしの部屋に帰ってきて、兄のことを思い出す豊。穣は豊のことを思って「いろいろとあるのはうちだけじゃないよな…」と独り言を言って、母の写真を見るのだった。
ほっこりとしたお料理&食事シーンがありながらも、簡単には乗り越えられない豊の辛い側面も見えた今話。エンディングテーマもいつもと違って響き、ふと涙がこぼれた。
◆構成・文=牧島史佳