水上恒司コメント「けなげな人を破壊するのが“戦争”」
――今回彰という役を頂いた時の気持ち、準備したことを教えていただけますか?
私自身が芝居に興味を持ったきっかけが高校演劇でした。その際に頂いた役が特攻隊員の古賀正一という青年でした。また、広島と長崎にも不思議な縁があり、彰が生きた時代には物心ついた時から関心がありました。
私の会ったことのある親族や大事な人に戦争の犠牲者がいないため、私は戦争を冷静に見ることができると思っています。そんな私が今回彰という役を生きる意味は、私より下の世代に「戦争」というもの、日本がしてきたこと、世界の戦争の歴史を知るきっかけを与えるためだと思います。
――脚本を読んだ感想はいかがでしたでしょうか?
やはり、役者としてこの台本をさらにどこまで大きくできるか、というワクワクに駆られました。
――撮影を無事に終えて、彰を演じた今の感想を教えていただけますか?
撮影の半ば、成田(洋一)監督に「彰だけ別世界にいるよう」と言われ、ある程度作戦通りいったのかと思います。彰は人間ではない、自己が一部欠如した愛に溢れた妖怪のようなイメージですので。
――共演は2度目となる福原さんについて、どのような印象を持たれましたか?
とても良い意味で、普通の女の子でした。今回の現場にいた福原遥さんはとても無邪気で、清涼感溢れ、この世の全てを愛しているような、まさに百合のようなお方だと思いました。
――最後に公開を楽しみにされている皆さんに一言お願いいたします。
先程も申し上げました通り、今作を観た後に勉強をし始めるキッカケになることを望んでいます。日本が受けた暴力も、日本が世界に与えた暴力も。若い世代に両側を知ることを望みます。百合と彰のようなけなげな人々を破壊するのが「戦争」だということを、今作を通じてお伝えできれば幸いです。