新名も楓から思いを打ち明けられる
一方、「私だって子どもが欲しくないわけじゃない。ただ少し、少しだけ先延ばしにしていただけ」と心の中で振り返る楓。仕事で夢だった編集長の座が叶うかもしれない時期にきていた。でも気付いた時には、新名の“目”に自分は映っていなかった。
楓は出かけようとする新名を後ろから抱きしめ、「誠も仕事もどっちも大事なんだ。だからどっちも頑張る。あたし、いつでも大丈夫だから」と受け入れる心構えがあることを告げた。
そのとき、みちに会いに行く予定だった新名。「彼女の幸せを願わなきゃ。願わなきゃいけないんだ」と思いながらも、みちたちの旅行の前夜、午後から出かけるというみちに「明日お時間いただけませんか」「これで最後にします」とメッセージを送っていたのだ。新名は楓の言葉に何も返事することなく、ただ「行ってきます」と家を出た。
すれ違う、みちと新名
外に出たみちが息せき切って向かったのは、新名との約束の場所。陽一を旅行に誘ったとき、みちは「私の心を陽ちゃんでいっぱいにしたい」とモノローグで語っていた。しかし、裏を返せば、そのときいっぱいではなかったということで、会社で持っていた延長コードを他の同僚に「引きずってます」と言われた場面は、新名への思いを暗示するもののようにも感じられた。
「ずるいのは分かってる。でも、たまらなく会いたい」と思うみち。しかし、そのとき、新名は「困らせてごめんなさい。本当に同僚に戻ろう」とメッセージを送り、自宅に戻った。
新名の心には幸せに向かって歩き出しているみちを邪魔してはいけないという思いがよぎったのだ。
2組の夫婦、4人それぞれのなんという切なくて苦しい思い。その細やかな感情の揺れを、奈緒、永山瑛太、岩田剛典、田中みな実が熱演して見事に見せ、ラストまでぐっと引き付けられた。SNSにはそれぞれの人物への共感や反感が上がり、タイトルが放送後から深夜まで長時間トレンド1位を記録。
そのなかには、次回予告で楓がみちをランチに誘うという修羅場を予感させることへの期待も交じっていた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部