旧友だとスグに気づく五十嵐vs全く気づかない三間
五十嵐がやって来て、三間は名刺を渡して挨拶した。「三間貴之」という名前に、五十嵐はすぐに、アノ「貴之」だと気づく。だが、三間は緊張気味に「私、五十嵐先生のファンでして、お会いできて光栄です」と他人行儀。「気づいて…ないのか!?」と半信半疑で三間を見つめる五十嵐。三間も彼を見つめ返す。何かを考えている表情の三間に、思い出したか、と期待する五十嵐だったが、「先生って…意外と若い」と思っていただけだった…。
ビジネスライクに話を進めていく三間に戸惑いながらも打ち合わせは終了。五十嵐が神奈川に住んでた事がある、という話題になり、会社の同僚が、三間もその辺りの出身だと告げると、「そんな気がしてました」と含んだ笑顔で三間を見る五十嵐。「えっ!?」と彼をまじまじと見つめて「今、確信に変わった」と心の中で呟いて頷く三間。「やっぱり五十嵐先生は…」。期待する五十嵐。「スゴい小説家だ。ここまでのボクの言動を見て、神奈川的要素を感じ取るなんて!」。頷きの意味はそれだったのか…そんな思考回路の三間の方がよっぽどスゴい。
一向に気づく気配の無い三間に業を煮やした五十嵐は、「三間さんは今年27歳ですか?小4の時の担任は田中先生…」と、ヒントを次々に与え始めた。ここまで来ても「そんな事もわかるんですか!占い師みたいですね!」と感心するばかりの三間…。「まだまだこんなもんじゃないですよ?」と、次々と知ってる“三間情報”をくり出す五十嵐に、同席者たちは「この2人、知り合いじゃね?」と確信する。「相変わらず」と言ったり、友だちしか知りえない情報を出しても「作家さんって、何でもお見通しなんですね!」と、最後まで気づかない…。もう恐怖さえ感じるほどの鈍感っぷりだ。
「楽しみだよ、貴之」
五十嵐が帰った後、「初めてお会いして、緊張しました」と、ほっとしている三間に、「いやいやいや、オマエ、絶対知り合いだろ」とツッコむ同僚。「確かに同じ名前の友人が居ましたけど…。その人も小説書いてました。文章のクセが似ています」と考え始め、「本人だったのか…」と、今さらすぎるタイミングで気づく三間であった…。
五十嵐は帰り道で「相変わらずニブかったなぁ」と、三間のことを懐かしんだ。と同時に、あまりにも気づかなかった彼に「もう忘れちゃったのかな」と寂しさも感じた。
五十嵐にさびしい思いをさせたとは夢にも思っていない三間は、「せっかくのドラマチックな再会だったのに…」と、残念な気持ちになった。だが、五十嵐に次回の打ち合わせのメールを打ちながら、子供のときに別れて途切れた2人の物語が、今再び動き出したようで、ワクワクするのだった。
そして五十嵐も、「東京に住めば、いろんな縁が生まれやすいのかも」と上京を決め、「楽しみだよ、貴之」と再び繋がった彼との縁に思いを馳せた。これから、三間だけでなく、颯(中本悠太)や蒼真(川西拓実)、瞬(藤岡真威人)との縁も生まれるはず。5人が揃う日が楽しみだ。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部