フリートークのラジオ番組のレギュラー獲得
そんなある日、1人でフリートークをするラジオ番組のオーディションの話が彼らにやって来た。できない、と言う春日を置いて、若林は1人で会場に向かった。エピソードトークを乞われた若林は、春日のヘンテコエピソードを話した。黙って聞いていた放送作家が「それでいい?他人の話をするんだね」と言った。
「何でもいい」と言われ、若林は、会場を借りるカネが無く、相方の部屋で10人相手にトークライブをしてるのが恥ずかしい話をした。告知しなければ客が来ない、告知しすぎて10人以上来ても困る、という小さすぎるジレンマと戦ってる、と。次に、カネが無くて、好きな女の子と会うのはいつも公園だと言う話もした。蚊に刺されまくってる彼女を見て、ファミレスに誘いたいけど貧乏で言えない。彼女も気を遣ってガマンしてるのがわかるから、情けなさすぎて一緒に居て楽しいはずなのにツラくなってくるんだ、と。
若林が話し終わると、作家が「キミね…」と口を開き、「その話、面白いよ」と言った。意外な感想に驚く若林に、「人が本気で悔しかったりみじめだったりする話は、面白いんだよ」と告げた。そして、若林は「フリートーカー・ジャック!」という、深夜3時45分から5分間のラジオ番組のレギュラーを獲得した。真っ暗闇だった若林の人生に、ちょっとだけ光が射し始めた。
まさかの「ご本人登場」に、若林本人もビックリ
若林のトーク力を初めて評価してくれたこの放送作家は、藤井青銅氏で、現在も「オードリーのオールナイトニッポン」のメイン作家をしている。オードリーにとって無くてはならない人物だ。この役を演じたのは、何と藤井氏本人。オーディションの部屋が映った途端、この予想外すぎるサプライズに気づいた”リトルトゥース”たちが「青銅さん!?」「本人だよね?」とTwitterでザワつきはじめ、「青銅さん」が突如トレンド5位に躍り出た。
若林本人も、藤井氏と毎週顔を合わせているのに聞かされていなかったようで、「いやいやいや 今までで一番ビックリしたわ『だが、本人である』」と、自身のInstagramで驚きを伝えていた。
ついに“ズレ漫才”が…!?
「小声トーク」に、すっかり2人の友人となった“わくわくテント”の鈴木(水沢林太郎)がゲストでやって来た。2人のやり取りを聞いていた鈴木に「さっきから春日の言う事、ズレまくってない?」と言われた若林は、何かがひらめく。「こっから」若林は“ズレ漫才”を完成させていき、2008年12月、オードリーは「M-1グランプリ」の敗者復活コンビの発表を聞くために、大井競馬場のステージに立つ事となる。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部
※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」
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