それでも、高藤の妾になる未来と万太郎と結ばれる未来を天秤にかける様子はない。自分が万太郎について何も知らないことにただただ愕然(がくぜん)とし、「なんで(白梅堂に)来られないのか聞きたい。何してるのか教えてほしい。けど、足を引っ張るのも嫌なの」と切望するばかりだ。
だが、かる焼きを食べさせてあげたい、自分の好きな本を読んでほしいという気持ちは、まぎれもない恋心。どこか幼さの残るヒロイン・寿恵子の恋のめざめと葛藤を、浜辺がみずみずしく演じている。
思いを自覚した万太郎「わしだけを見てほしい」
一方の万太郎は、寿恵子への思いを自覚済み。第45回では「どんどん黒いもんが湧いてくる。あの人にわしだけを見てほしい」と抑えきれない思いも口にしたが、今はそのエネルギーをすべて植物雑誌創刊に注ぎ、煩悩をかなぐり捨てて「まずは印刷所の見習いから」という、恐ろしく遠回りな道をひた走っている。
6月7日(水)放送の第48回では、高藤が寿恵子に正式に「人生のパートナーとして迎えたい」と申し出る。万太郎への思いを募らせていく寿恵子と、「間に合わなければご縁がなかったものときっぱり諦めます」という固い決意の万太郎。二人には、どんな巻き返しのドラマが待っているのだろうか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部