行き場所がなくなって道に倒れた時に匠と再会…
職を失い、失恋して、家にもいられない。行き場所がなく、傘もささずに雨の中を小走りし、転んだところで「大丈夫?」と声をかけて傘をさしてくれたのが幼なじみの匠だった。
濡れた服を乾かすために、匠の家にやってきた八重。匠は一級建築士で自ら立ち上げた「夏目設計事務所」の社長。まさしく、自他ともに認める超モテ男。その左手の薬指には結婚指輪が光っている。
八重は「奥様にごあいさつを」と切り出すと、「はぁ?いねぇし」という返事が。実は、大事な取引先の社長・二木谷皓司(鶴見辰吾)から「男は所帯を持って当たり前。独身の男とは仕事しない」と言われたことで、ダミーの結婚指輪をはめて、既婚者だとウソをついていることを告白される。
匠は匠で仕事のために“ウソ”をついていたのだった。
ウソをついている匠のために八重はウソの結婚を決意
既婚者を装って一年、架空妻への周囲からの追及をかわしてきたけれど、その社長の誕生日にパーティーに呼ばれていて、それには夫婦での出席がマストとなっている。そんな窮地に現れたのが八重だった。
職を失い、恋人とも別れたと聞いて、匠は半年の期間限定で“うその結婚相手”を演じるバイトを持ちかける。最初は断った八重だったが、家に戻るとルームシェアの友人が彼氏からプロポーズされた話を聞き、自分が家を出ることを決意。そして、住むところが保証されて、バイト代も出る“ウソの結婚相手”のアルバイトを受けることに。
「頑張ってみたい。私ウソつきだけど、そんな自分、ホント嫌だけど、それで誰か…、たっくんの役に立てるなら頑張ってみたい」
他人のことを気遣い、その場の空気を読んだり、人の顔色を見たりして、オドオドして、お人好しで。そんな八重を長濱がナチュラルに表現している。八重の場合は少し極端なところがあるが、人のことを思って自分の本音を押し隠してしまう。なんてことは、誰にでも経験があることなのではないだろうか。八重の言動に共感しながら観ていくと、よりこの作品を楽しめそうだ。長濱の繊細な演技に注目したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部