裁く側も身をもって知る「正義の残酷さ」
かつてクラスで行われていた学級裁判をまねて、被告人である茉莉花が教室の中央に縛り付けられていた。そして左右には弁護人と検察官役が控える。とはいえ弁護人は特に言葉も発さず、検察官役の水野カイト(7 MEN 侍・矢花黎)が読み上げる罪状を聞いているだけ。
茉莉花の告白によれば、いじめの詳細は「無視されたり、近寄ったら殺すとかウザイから死ねとかいう手紙、机に入れられたり…」というもの。しかしそれを聞いて、梶原絃(斎藤流宇)は「それだけ?」と理解を示そうとしない。「会ったら気まずそうな顔するかな」「謝られたら許せるかな」と複雑な心境で同窓会に臨んだ茉莉花に理解を示したのは、同じくいじめられた過去を持っているクラスメイトたちだった。
2人に下された判決は…
被害者側の強い声もあり、裁判は紛糾。殺人の動機となった“いじめた側”も同じく裁かれるべきだという声で、彩も椅子に縛り付けられることに。そして最終的には多数決によって、「彩は手の指を1本折る刑」「茉莉花は服毒による死刑」が決定する。
多数決後もネズを始め数人は考え直すように全員へ訴えたが、裁判長として教卓に立っていたみきおはそれを許さない。そして茉莉花が「死刑って…誰が刑を執行すんのかなって」と笑い出すと、いまさらながらクラスメイトたちも気が付いたようだ。正義の鉄ついを振り下ろす覚悟がなかったことに。
もちろんみきおは手を下さない。「僕は裁判長で執行人じゃない。君たちの誰かがやるんだ」というみきおは、「そんなの聞いてない」と反論した絃を執行人の1人に定める。ピストルを突きつけて、彩の「指折り刑」を強制的に執行させた。
彩の凄絶(せいぜつ)な悲鳴のあと、待っているのは茉莉花の死刑だ。みきおが指名したのは、裁判中も検察官役として立ち回り、特に死刑を強く要望していたカイト。“みんなで決めた”結果といえど、自分の手で毒を飲ませて人を殺すことは大きなプレッシャーがかかる。
耐えかねたネズがカイトを突き飛ばして毒殺を防ぐが、そのときに落ちた毒を拾ったのは茉莉花。「あんたらみたいなクズに殺させねえよ!」と自ら服毒し、みきおの温情によって縄を解かれて教室の外へ。放送部の楽しかった思い出を振り返りながら、最後には教室の扉へ血を吐いて無惨な死を遂げた。
カイトはのちに記者・星野薫子(森カンナ)へ事件後も残る「食事に味がしない」という後遺症を語る。「俺は司法では裁かれませんでした。でも俺は、悪ですよね」と述懐しながらも、記者と共に飲むコーヒーにわずかな苦みを感じたと告白。調子がいい日にはあることらしいが、罪の告白によって罪悪感が和らいだのだろうか。
究極に追い詰められた環境のなか、人間の本性があらわになるみきおの実験。次回7月18日(火)の放送では、有名な監獄実験を模した「グループ実験」なるものが開催される。