川口、木村拓哉は「偉大だなと思いました」
――エンバーとウェイドと同様に、誰かとの出会いで新しい自分を生み出せたとか、人生の中で経験されたことは?
玉森:僕はSMAP兄さんかなぁ。異次元な人たちだと思いました。デビューした日に「ビストロSMAP」(「SMAP×SMAP」のコーナー※収録日がCDデビュー日)にメンバーみんなで出たんですけど、食事の味を一個も覚えてなかったです(笑)。オーラがすご過ぎて、自然と一歩二歩下がってしまうような迫力を間近で見た時に感じました。直感で“ヤバイ! この人たちはすご過ぎる”と。同時に“かっこいいな”とか“あんなふうになりたい”と思いましたし、終わった後にメンバーとそういう話もしたのを覚えています。目標でもあるし、いつか越えられたらいいなと思っていますが、知れば知るほど遠ざかっていくというか…。いろんなすごさを知って敵わないなあとも思います。ホントすごい人たちなんです。
川口:私は木村拓哉さんと初めて一緒にお仕事をさせていただいた時、“こんなに熱量を持って作品と向き合われているんだ”と感じたんです。作品に対して、チームに対して、全力でいるその姿に、こんなんじゃダメだ!と思いました。あそこまで全身全霊でモノづくりをされていて、チームを大切にしている姿にかっこいいな、偉大だなと思いました。それに、面倒見の良い方で、作品が終わった後でも連絡をくださるんです。その時の役柄が怖かったので、現場では厳しく接していただいたんですけど、撮影が終わった後や帰り道では、普通のお兄さんみたいな感じで、そのギャップもすてきだなって。
――木村さんから言われた言葉で印象に残っている言葉があれば教えてください。
川口:その作品じゃないんですけど、一般の方の夢を叶えるという番組に木村さんが出演されているのを見て、“本当にこの人はとんでもない数の人の人生を変えていて、とんでもない影響力を持っているんだ”と再確認しました。それで連絡してそのことを伝えたんです。そうしたら「俺らの仕事はそういうことだから。人に夢を与えるのが仕事だし、ちゃんと信念を持ってやってるから生半可な気持ちでできない。それがエンターテイナーだよね。だからあなたも頑張ってください」というようなことを言っていただいて、私も人に対して真摯(しんし)に誠実にいたいなって改めて思いました。
玉森「今は親に感謝しています」
――この作品では、エンバーが父親と意見が合わなかったり、反抗するシーンもあったりしますが、親子関係の部分で共感することや、感じたことはありますか?
玉森:僕は自分から事務所に入りたいと思って入ったわけではなく、親の夢というか、「やってみたら?」という感じだったんです。でも、入ってみて知れば知るほど向上心も湧いてきましたし、“もっともっと”という気持ちにもなりました。仲間ができて、夢を語り合い、そこに向かって頑張ろう!という気持ちに切り替わっていきました。今は親に感謝しています。
川口:私は三姉妹の末っ子でみんなに甘やかされて育ってきたので、親に怒られたこともありません。のびのびした環境で育ってきたと思います。このお仕事をする時に、心配してくれていたとは思いますけど、「とにかくやりたいことをやってみれば?」という感じで見守ってくれていました。姉たちとは年が離れていて、親に厳しくしつけられていたので、私はそういうのがなくて寂しいなと思った時期もありましたけど、大人になってからの方がきちんとコミュニケーションを取れていて、言いたいことも言い合えています。それでぶつかり合うこともできているので、良い関係性が築けていると思います。
――最後にこの作品に込められた思いやメッセージについて、教えてください。
川口:“自分はこうでなきゃいけない”とか“自分らしさって何だろうな?”と考えるきっかけになっていると思います。新しいことやこれまでやってこなかった環境に足を踏み入れる時って誰しも悩むと思うんですけど、そういうのを取っ払って、前に一歩踏みだす勇気をくれる映画だなと。自分と全然違う人、自分と感覚が違う人と付き合うことの大切さや家族愛、恋愛も描かれているんですけど、軸となる部分はそういうメッセージが詰まっていて、誰にでも当てはまるような共感してもらえるメッセージが込められていると思います。
玉森:川口さんのおっしゃった通り、自分では気付けなかった可能性というのが一番伝えたいメッセージなのかなと思いますね。“自分はこうじゃなきゃいけない”というのは、誰か違う人に触れることで気付き、“自分にこんな可能性があるんだ!”っていうことも気付かせてくれます。なので、自分の可能性を広げさせてもらえる、そんな物語かなって思います。
◆取材・文=田中隆信
カエルム
発売日: 2022/11/30