2022年、ドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)の演技で話題となり、その後も連続ドラマや映画で活躍。今年2月には自身初のフォトエッセイ「松の素」を上梓した松本若菜。現在、ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(TBS系)にも出演中の松本が、お題を毎回1つセレクトしトークする本連載。第4回は振り回されても松本若菜が「神!」と称えるあの存在について。人間関係での紆余曲折も含めて松本若菜が素直な気持ちをつづる。
もんちゃんとにぼしちゃん
今年の春から、「カロリーメイト リキッド」のCMに出演させていただいているのですが、「共演している猫ちゃんがもんちゃんに似ている!」と、ごくごく一部で話題になりまして。もんちゃんといいますのは、私の相棒兼、パートナー兼、息子兼、神!の、愛猫もずくのことでございます。
CMで共演したのは、にぼしちゃんという名前の猫ちゃん。このにぼしちゃんが、すごかった。監督さんが「止まって」っていうと、ちゃんと止まるんですよ! すごくないですか⁉ 私がセリフを噛んだときも、にぼしちゃんの演技はパーフェクト。にぼし姐さんと呼びたいくらい、すばらしい猫ちゃんでした。
嫉妬してくれないツンなアイツ
こんなふうに私が他の猫ちゃんをほめたとて、もんちゃんはどこ吹く風……。今日も涼しいお家の中で、自由気ままに過ごしていることでしょう。そんなもんちゃんと一緒にいる時間こそが、私の癒しのひととき。朝暗いうちからごはんが欲しくてニャーニャー鳴かれようが、手を触っただけで噛まれようが、いいんです。何ていうか、もんちゃんと一緒にいると気持ちが浄化される気がするんですよね。それがすごくありがたくて。「やっぱりもんちゃんは神様だわっ!」と、ひとりニマニマしている私です。
他人の言動にモヤモヤ…
ペットショップでもんちゃんと出会ってから、早くも12年が経ちました。その間、私はもんちゃんから、生きていくうえでのヒントをたくさんもらっている気がします。この連載の初回でもちらっと触れた、人に期待しすぎることや、自分の物差しで他人をはかることを手放せたのも、もんちゃんの影響なんです。
生きていると、自分の気持ちが相手にうまく伝わらなかったり、他人の言動にモヤモヤするなんてことが、山ほどあるじゃないですか。そこでちゃんと話し合って、お互いに「私のここが悪かった、ごめんね」「自分もここが悪かったから直すね」というふうにできれば、それが一番のハッピーエンド。でも、できないことのほうが多いんですよね。「!?」と思った相手が全員猫ちゃんだったら、「かわいいからヨシ!」ってなるけれど、そんな奇跡は起こりません(笑)。腹を立てて、結局しんどいまま終わる……みたいなことが、30代の前半までは、まぁよくありました。
ラクになれる気持ちの持ち方
だけど、自分勝手で気分屋で、決して私の思い通りになってくれないもんちゃんと暮らすうちに、人付き合いや人生ってそういうもんだよな……と、思えてきたんですよね。育ってきた環境が違うんだから、自分と相手が思っている“普通”は違って当然。「人は人。自分の普通を押しつけるのはやめよう」と思えるようになって、だいぶラクになったかなぁ。それもこれも、もんちゃんのおかげ。やっぱりもんちゃんは……(自粛)。
ここまで話しておいてアレなんですけど、みなさんお気づきになったでしょうか? 今回まだテーマを発表していないということを! もうおわかりだとは思いますが、念のため。ドゥルドゥルドゥルドゥル……、今回のテーマは「もんちゃん」でした!
取材・文=恩田貴子
まつもと・わかな/1984年生まれ、鳥取県出身。2007年、女優デビュー。2017年、映画『愚行録』で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。2022年にはドラマ『やんごとなき一族』での印象的な演技が“松本劇場”と話題となり、数々の賞を受賞。同年、ドラマ「復讐の未亡人」で連続ドラマ初主演を務める。現在、報道・情報番組「THE TIME,」(TBS系、毎週月~金午前5時20分~)に7月の月曜日マンスリーレギュラーとして出演中。また、7月11日(火)スタートのドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(TBS系、火曜22時~)にも出演。2023年2月には自身初のフォトエッセイ「松の素」を上梓した。
『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
2023年7月11日(火)~毎週火曜 22時~22時57分、全10回
出演者:福原 遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤 樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐 莉菜、シルビア・グラブ、美村里江、松本若菜、髙嶋政宏、片平なぎさ、安田 顕ほか