1992年4月13日の放送開始以来、老若男女を問わずに愛され続ける国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』。放送から30年を超え、2023年8月4日から公開される映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』は、構想から含めて7年という制作期間を要した同シリーズでは、初の全編3DCGアニメーションで制作された挑戦作。
小林がしんのすけ声優の大役を託されてから、今年でしんのすけの年齢と同じ5年の歳月が経過した。小林自身2児の母であり、長男は声優交代の約1年前に誕生。声優としても母親としても嵐を呼ぶような5年間を、今作でゲスト声優を務めた鬼頭明里との対談を通して、映画の魅力と共に語ってもらった。
小林由美子、野原しんのすけ声優バトンタッチから5年
――しんちゃんの声を5年担当して気づいたことはありますか。
小林:まだ5年かっていう感じではあるんですが、一番初めに引き継いだ時は、「とにかくしんのすけを受け継がなければっ!」、「みんなの想いが詰まった作品なのだから、その思い出を壊さないように、先代のしんのすけをできるだけ再現して、できるだけ壊さないように壊さないように・・!!」って思いばかりが強かったのですが、5年経った今はせっかくこんなに楽しい作品なのだから、楽しんでやらなきゃ勿体ないという気持ちの方が強いです。息子もちょうど5歳になったんですが、息子を見てると割としんちゃんで放送されるドタバタが「アニメだからこうなるんでしょう?」じゃなくて意外とリアルで、とにかく今は嵐を呼ぶ5歳児しんのすけを楽しんで演じていきたいなって。昔も楽しかったんですけど、今はより楽しく、その5歳のしんのすけを演じることができているような気がします。
――3DCGで見たしんちゃんの印象は。
小林:3Dのしんちゃんと聞いた時に「『クレヨンしんちゃん』のしんのすけなんて2Dの権化なのにそれを3Dで!?」って思ってたんですけど、実際の仕上がりを見て心配は杞憂だったなと思いました。可愛らしいぷにぷにのほっぺたや、プリプリのお尻とかっていうのが、3DCGならではの表現で、すごくかわいいしんちゃんだなって。(3DCG化の)話自体は4年ぐらい前にいただいて、そこからアフレコ何回か繰り返して、3DCGということで、口元撮影しながら録ったりとか、読み合わせやったりと今まで劇場版でやったことがないような録り方重ねていきました。今回音響もいつもと少し変わっていて「ブリブリ」を右から左へ音を回したいからちょっと長めにというご指示をいただき、「ブリブリブリブリ」とひたすら繰り返したりと、これも新鮮な録り方をした一つでした。
――鬼頭さんにとって『クレヨンしんちゃん』初参加のお気持ちは。
鬼頭:しんちゃんの世界に入れたっていうのがまず嬉しかったですね。しかもこうやってしんちゃんと掛け合いで一緒に喋るっていうのが、子どもの時は想像もしてなかったことだったので、掛け合って初めてこう実感が湧いてきたというか、しんちゃんの世界に声だけですけど、入ることができたんだとすごく思いました。
しんちゃんを受け継ぐ「矢島晶子さんの作られたしんちゃんが天才」
――共演してみたお互いの印象は。
小林:鬼頭さんとは、ずっとレギュラー(番組)で一緒にやっていたので、これが初めての出会いじゃなかったので、「こんな人だったの!」みたいなことはなかった。しんちゃんガールって芯の強くて明るくていい女の人が多いので、「あ!ぴったり」と思って。
鬼頭:嬉しい!
小林:すごく芯が強くて真っ直ぐな女性だなって思っていたので、アフレコする前から変わらずその印象を持っています。
鬼頭:私はやっぱり(小林さんに)お会いする前からですけど、子どもの頃から色んな作品観させてもらって、無邪気なかっこいい男の子を演じていることが多い印象だったので、しんちゃんを演じているところを見させていただいた時に、全然いつもの小林さんからは想像できない、でもみんなが知っているしんちゃんをやってくださっていて、改めて尊敬し直しました。
小林:嬉しい!若返っちゃう。しんのすけみたいな役をほとんどやることがなかったので、どっちかと言うと全部腹式呼吸みたいな、モノローグもとりあえず声張ったもん勝ちみたいな元気な少年をずっとやってきたので、飄々とした掴みどころの無い男の子をやったことがなかった。それを自分の中で消化して、ひとつの演技として出すのがすごく難しかった。
鬼頭:素晴らしかったです。
小林:今回アフレコの仕方がちょっと違って、1人ずつ録っていくパターンだったので、同じ空間で掛け合う芝居っていうのは今回できなかったんだけど、(鬼頭さんが)見学に来てくれてすごくテンション上がりました。完成品を観て、別々に録ったけど、一緒に録ってると思うくらいのグルーブ感を感じました。でも一緒に録りたかったなとは思う。
鬼頭:一緒には録れなかったですけど、昔からしんちゃんを観ていた身としては、そして声優としての視点で、代替わりで(しんのすけの声を)任されるプレッシャーって、相当なものなんだろうなっていう、でもそれを5年続けて、(小林さんに)代わったと聞いてたから観たしんちゃんも、元のしんちゃんをすごくリスペクトしていて、違和感を感じさせないしんちゃんを演じているなとすごく思ったので、それにまず感動しました。由美子さんのしんちゃんと一緒に掛け合いできるのが、すごいありがたい経験だし、すごく嬉しいし、楽しい経験になったなと思います。
小林:しんちゃん自体は、矢島晶子さんの作られたしんちゃんが、普通では考えつかないようなキャラクターを作り上げていて本当に天才だなと思います。そのしんちゃんを壊さないように、でも演じてるのは私だから変わってしまう部分もあるって言う、その折り合いっていうのを、スタッフさんと何度も話し合いながら作り上げていきました。
鬼頭:矢島さんのしんちゃんの良さを受け継ぎつつ、由美子さんなりの良さも出てるなって思いました。
小林:ありがとうございます。そんなこと言われたら嬉しい!
8月4日(金)公開
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ
声の特別出演:松坂桃李、空気階段、鬼頭明里
監督&脚本:大根仁
原作:原作:臼井儀人(らくだ社)/「月刊まんがタウン」(双葉社)連載中/テレビ朝日系列で放送中
制作:しん次元クレヨンしんちゃん製作委員会
公式サイト:https://www.shinchan-movie.com/
(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2022