すいが引きこもる原因となった“交通事故”
コラボ作品の提案を聞いた丈治の頭に不安がよぎった。すいは“コモリビト”で、ケータイも持っていない。実社会での友人付き合いはなく、ゲームなどを通してネットで知り合った人たちくらいなので、ラブストーリーのモデルは難しいのではないか、と。また、ピュアなラブストーリーということで高校時代を思い出したりすると、交通事故のつらい思い出がフラッシュバックするのではないかという心配も生まれた。
そんな中、公文と久美が不意打ちで丈治の家にやってきて、すいの部屋に“取材”と称して入っていった。ちょうどすいは外出して不在。10年間も引きこもっているのなら、自殺をほのめかす物もあるかもしれないと言って見て回ると、机の上に一通の封筒があった。それは高校の同窓会の案内だった。
帰宅したすいに、公文がコラボのことを説明。そしてすいは公文と久美が帰った後に、丈治に公文
の代表作の一つ「死にたがる彼女を1000回救う」を読んでいて、アニメのDVDも持っていると明かした。すいはそのヒロインのフィギュアが欲しいようだ。
事実は小説より奇なり。本当は別に好きな人がいた
すいは主人公のモデルになることを決意し、丈治と2人で公文の住む高層マンションにやってきた。そして、丈治が、すいが引きこもる原因となったバイク事故のことを話した。すいは軽症だったが、一緒にいたのはサッカー部のエースで、強豪校で連覇のかかった大会も彼が不在のために敗退。サッカー部マネージャーだったすいは周囲からの非難の目に耐えられず、引きこもりになってしまう。
この話を聞いた公文は、彼氏と起こしてしまったバイク事故はドラマティックではあるが話が重いと感じた。しかし、ここですいが「彼氏じゃないです」と告白。父親の丈治も相手がすいの彼氏だと思っていて、公文や久美もそういう関係性の2人の出来事だと思って話を聞いていたので、その発言にはただただ驚くばかり。
公文は「事実は小説より奇なり。本当は別に好きな人がいた」と、新たなイメージが浮かんだようだ。ここですいは、モデルとして書いてもいい代わりに、条件として欲しかったフィギュアをねだった。
最初に課されたすいのミッションは、同窓会に出席すること。「いきなり会っても何を話していいのか分からない」と言うすいに、公文は「なんうま」と答えた。それは相手に”何曜日に生まれたのか”を聞いてみることだった。公文は「日本では血液型や星座とかで占いをしますよね? それと同じようにタイやミャンマーでは何曜日生まれかが大事で皆知っています」と話す。何曜日に生まれたかで性格や相性を占うもので、自分が何曜日に生まれたかを調べたりすることで、共通の話題が見つかり話が盛り上がるということで、それを公文はすいに勧めた。
同窓会に参加できなかったと落ち込むすいに奇跡が起こった
公文はすいに渡したスマホに盗聴器を仕込んでいた。「チャンスです。今こそ勇気を出して立ち上がる」と、10年間引きこもっていたすいにとっての大きなチャンスだと公文は丈治に告げた。
コラボ作品の主人公のモデルになること。これが一つ目の大きな転機。そして、そのタイミングで送られてきた高校の同窓会に出席することがもう一つの大きな転機。
この2つの転機が訪れたが、同窓会の会場に到着したすいはお手洗いにこもったまま出てこられれず、出た時にはもう同窓会が終わってしまっていた。重い足取りで会場を出て、泣きながら帰ろうとするすいに奇跡が起きた。
2次会でカラオケに行った江田悠馬(井上)が、外の空気を吸いに店から出たところですいの姿を見つけたのだ。駆け寄り「黒目じゃない?」と声を掛けられると、突然のことに驚いたすいはいろいろ考えた結果、「なんうま? 何曜日に生まれたの?」と切り出し、笑顔を見せた。
奇しくも再会を果たし、2つ目の転機を生かすきっかけを作ることができたすい。これによって10年間止まっていた時計の針が動き出した。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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