8月8日に放送されたドラマ「なれの果ての僕ら」(毎週火曜深夜0:30-1:00ほか、テレビ東京系ほか)の第7話。“後日”事件の真相に追っている記者からの衝撃的なナレーションと、人間に眠る悪意の大きさが印象に残る回となった。主人公の決断とそれに伴うクラスメート各々の反応によって、“追い詰められた者の人間性”が毒々しいまでに明らかとなる。
「なれの果ての僕ら」とは
同ドラマは、「週刊少年マガジン」および「マガジンポケット」で連載・配信された内海八重の漫画が原作。同窓会に集められたクラスメート23人を襲うのは、誰も予想だにしていない監禁劇だった。極限状態に追い詰められたときに暴かれる、人間の“狂気”を克明に描いた衝撃のサスペンス作品だ。
主人公のネズ(真田透)を演じるのは、NHKドラマ「麒麟がくる」などに出演したHiHi Jets・井上瑞稀。さらに監禁事件の首謀者であり、“人間の善性”への興味から残虐な実験始めた夢崎みきおという難しい役柄を、実力派俳優・犬飼貴丈が演じる。
ネズの決断、クラスメートの声
みきおによる凄惨(せいさん)な実験の数々…。それらすべてが自分の善性を試すためだけに用意されたものだったと告げられ、銃を握らされたネズ。多くの犠牲者が間接的に自分のせいで殺されたと知ったネズは、怒りと恐怖で硬直してしまう。
みきおは「ねえ覚えてる?小さい頃、よく2人でカブトムシ取りに行ったり、川に遊びに行ったりしたよね。僕にとっては新鮮で楽しかったな。君といるときだけは、なぜか純粋な気持ちで向き合えたな」と思い出を語る。そして改めて心臓を外さないように銃口を固定しつつ、「君には感謝してる。友達って最高だね」と血と狂気にまみれた穏やかな笑顔をネズに向けるのだった。
にわかにクラスメートたちが駆け付けるが、みきおは「大事な実験中」として懐から2丁目の拳銃を取り出して制止する。「さあネズ、僕を殺すんだ!」とみきおが発破を掛けるなか、ネズの脳裏に「みんなで生きて帰ろう」という桐嶋未来(大原櫻子)の声と笑顔がリフレインした。その瞬間、怒りと憎悪の涙に塗れていたネズの顔がふと冷静さを取り戻していく。
「復讐(ふくしゅう)は何も生まない…生きて罪を償わせる」という言葉を絞り出したネズに、予想が外れたはずのみきおが見せたのは笑顔だ。あくまでも有意義な実験結果の1つとして見るように、「君はいつも僕の想像を…最高だよネズ」と輝くような表情を見せるのだった。