王様ゲームであらわになる“壊れてしまった”人間性
ネズが“すべてを終わらせる”決断ができなかったことに落ち込んでいる頃。クラスメートたちはネズを責める声と擁護する声に分断されていた。特に石井礼夏(工藤遥)は先の実験で、信じていたクラスメートの裏切りに遭っていたことから疑心が強く出ているようだ。
後に雨宮鈴子(大原優乃)が自身を責めるネズを説得して教室に呼び戻したときも、礼夏だけは彼に厳しいまなざしを向ける。「殺さなかったことを責めるのは違う」という声に対し、“ネズはみきおとグル”という飛躍した憶測まで飛び出す始末…。
クラスが二分されている状況で、みきおが次に告げた実験の内容は“王様ゲーム”。みきおが分けたグループのなかで、それぞれが話し合って“王様”を決める。王様はそのグループ内で絶対的な権力を持ち、支配権を持つ。
礼夏が「あんたのことも支配できるのか?」と質問を投げかけたところ、みきおは「いいよ」と意外な返事をし、王様には彼が持つ2丁の拳銃を渡すことすら許可する。今までと比べて投げやりな姿勢に見えたが、その理由について「僕はもう目的を果たしたからね」と明かすみきお。ネズの善性を試す実験が想定よりも早期に実施できたことで、「他のことに興味はなくて」と自身が殺されるかもしれない実験を開始する。
それぞれ分けられたグループのなかで話し合い、王様を決定していく。3組のグループのうち2組は人間性の成長を見せて穏やかに王様が決定したが、及川龍雄(草野大成)・小山内彩(椛島光)・梶原絃(斎藤流宇)・長谷部弘二(佐久本宝)・桜庭橋子(我妻三輪子)のグループだけは様子が違った。
クラスの元担任である橋子を王様に推す流れに、「こいつはただずっと傍観してただけだっただろ」と弘二が異議を唱える。そして他のメンバーへ執拗(しつよう)に暴力を振るい、王様となることを了承させた。実は直前、葉月依莉奈(紺野彩夏)と2人きりの場面で「礼夏にあんなことするなんて…人として最悪。あんたと付き合うとかないから」という言葉をぶつけられていた弘二。前の実験で礼夏を集団リンチするように仕向けた弘二の言動を知っていた依莉奈は、持ち前の正義感で弘二を糾弾していたのだ。
追い詰められた状況下とはいえ、自分のやったことが世間にバレたらバッシングは避けられない…。そうした絶望感からか、弘二の目の色はこれまでとは明らかに異なっていた。
全員が集められた教室では、明らかに暴行の跡が見られる弘二のグループだけが異様な雰囲気に。そして早く銃を渡すようせがむ弘二に、みきおは「君がどうして欲しいのかわかるけど、ちょっと待ってね?僕はやることがあるから」と告げる。そしてそこに、事件の真相を追う記者・星野薫子(森カンナ)による「この日、夢崎みきおは何者かに殺された」という衝撃的なナレーションが入る。
みきおは各グループの王様に、それぞれ番号を押すと対応した人間に強力な電流が流れるスイッチを渡す。興奮が隠しきれずに震える弘二を無視して、みきおは「さあどうなる?最後の実験を始めよう」といつも通り平静な表情で告げるのだった。