![ミルクを飲んで思い出した過去に涙…清水アイさんの『でっかいねこまたがちっちゃかったときのお話』が話題](https://thetv.jp/i/nw/1152641/12092173.jpg?w=1284)
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、しゃべるねこまたと不器用な飼い主とのほのぼのスローライフを描いた漫画『でっかいねこまたがちっちゃかったときのお話』を紹介する。
作者である清水アイさんが5月6日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、6,900件を超える「いいね」が寄せられた。この記事では、清水アイさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
妻に先立たれたとーちゃんと飼い猫の馴れ初めにグッとくる
![『でっかいねこまたがちっちゃかったときのお話』より](https://thetv.jp/i/nw/1152641/12089194.jpg?w=1284)
ある日しゃべるねこまた・ニイがお散歩をしていると、牧場で自分と同じ模様をもつ動物に出会う。友達になろうと牛と一緒に寝転んでいると、飼育員に見つかり「ダメだよ、勝手に柵の中に入っちゃ」と注意されてしまう。しかし、ニイが飼い猫であることが分かると飼育員さんは、飼い主・とーちゃんと一緒に飲むようにしぼりたての牛乳をもたせてくれたのだ。
牛乳をもって家に戻ると、とーちゃんはニイと一緒に牛乳を飲むために温めてくれた。一緒に牛乳を飲んでいるとニイはふと昔のことを思い出す。それは、ニイが小さかった頃、雨の中ひとりぼっちで町をさまよっていると「いっしょにかえろ」と1人の優しい女性に声をかけられ、あたたかいミルクを飲ませてもらった記憶で…。
飼い主・とーちゃんと飼い猫・ニイの馴れ初めを描いた本作。X(旧Twitter)上では「心がポカポカする」「いい話すぎて泣けた」「ニイちゃんかわいすぎる」「猫様を飼っている身として素晴らしい作品です」など多くのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
「猫の愛らしさや魅力が少しでも伝わるように」作者・清水アイさんが語る創作のこだわり
![『でっかいねこまたがちっちゃかったときのお話』より](https://thetv.jp/i/nw/1152641/12089195.jpg?w=1284)
――『でっかいねこまたがちっちゃかったときのお話』を創作しようと思ったきっかけや理由についてお聞かせください。
このお話は、『ねこまたとあさごはん』という物語の中の、ひとつのエピソードとして描きました。
『ねこまたとあさごはん』は、妻に先立たれてひとり残された主人公「とーちゃん」のために、老いた飼い猫「ニイ」が猫又となって傍に残る、というお話です。そのふたりの馴れ初めのお話を、いつか描きたいと思っていました。今でこそ、ニイとの二人暮らしにも慣れたとーちゃんですが、当初は猫をよく知らず、ちょっと苦手で…という設定を温めていたので、この過去エピソードで描いてあげられてよかったです。
――本作では、しゃべる猫又・ニイが過去を思い出に浸る愛らしさが印象的ですが、描く上でこだわった点や意識した点があればお聞かせください。
私自身、何度か子猫を育てた経験があり、子猫あるあるネタを盛り込むことで、読者の皆さんにもご共感頂けたらいいな、と思いながら描きました。子猫ニイのいたずらは、いずれも実際にやられたものばかりです(笑)猫飼いの読者さんたちからも、「分かる!」というお声をたくさん寄せて頂けて嬉しかったです。
本作全体を描く上でも常に念頭に置いていることですが、猫を飼っている人だけではなく、飼いたい人や飼っていた人、猫が苦手な人や犬派の人にも、猫の愛らしさや魅力が少しでも伝わるように留意して描いています。
――本作はMATOGROSSO(マトグロッソ)で連載中の『ねこまたとあさごはん』に収録されているお話の1つですが、他に思い入れの強いお話があれば、理由とともにお聞かせください。
第3話『しゃんどいっち』。妻を亡くして塞ぎがちだったとーちゃんが、散歩先で見つけたパン屋さんでサンドイッチを買って、それをニイとお外で食べるというエピソードです。小さな発見や、初めての体験を通して、悲しみに沈んでいたとーちゃんが、少しずつ前へ進み出すきっかけのお話になっていると思います。
この作品は、「おいしいもの」もテーマのひとつになっているので、このお話のサンドイッチも「おいしそう」と思って頂けたら、と思いながら描きました。お外で食べるごはんって、本当においしいですよね。
――『ねこまたとあさごはん』(イースト・プレス)では本作以外にも自然豊かな町で繰り広げられるほのぼのとした日常が描かれていますが、これらのストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
この『ねこまたとあさごはん』は、実際に私が生まれ育った八ヶ岳南麓(清里高原)を舞台に描いています。四季折々、様々な表情を見せる自然豊かな環境が好きで、いつかそれを作品として描きたい、と思っていました。『ねこまたとあさごはん』の物語を考えたときに、この八ヶ岳という場所がぴったり合うのではないかと考え、舞台として選びました。
とーちゃんも脱サラ・移住という設定ですが、実際に移住して来られる方も多い土地ですし、田舎特有ののんびりした大らかな風土もモデルになっています。作中の背景も、実在する場所を描いていたりしますので、もし八ヶ岳に来られる際は探してみても面白いかもしれません。
――清水アイさんの今後の展望や目標をお教えください。
今後もそこまでシリアスなお話にするつもりはなく、今まで通りゆるっとしたとーちゃんとニイの田舎暮らしを描いていけたら、と思っております。続いていく日々の中で、少しずつ発見をしたり、失敗や成長をしたりしながら、ゆっくり前に進んでいくふたりの姿を、これからも描き続けてあげたいです。
地元の人たちとのつながりが、少しずつ広がっていく様子も描いてあげたいですね。それと、おいしいものももっと色々食べさせてあげたいです(笑)
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
『ねこまたとあさごはん』は、読者の皆さんのあたたかな応援のお陰で、連載化・単行本化することができました。いつも読んで下さっている方、この物語に出会って下さった皆さまに、心より感謝しております。ささやかではありますが、疲れたときや落ち込んだとき、一息つきたいとき、ほんの少しでも心が軽くなるようなお話を、これからもお届けしていきたいと思っています。
今後も、とーちゃんとニイの田舎暮らしをあたたかく見守って頂けたら幸いです。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。