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吉永小百合がなぜ日本人の心に響き続けるのか “変わらずに変わり続ける”魅力とは

2023/08/26 18:30

吉永小百合123本目の出演映画「こんにちは、母さん」
吉永小百合123本目の出演映画「こんにちは、母さん」(C)2023「こんにちは、母さん」製作委員会

山田洋次監督の新作映画「こんにちは、母さん」が9月1日(金)から公開される。大泉洋演じる人間関係に神経をすり減らした神崎昭夫が、下町の人情を感じ、自分が知らなかった母の意外な一面を見て、今まで見失っていた“なにか”に気づく姿を描いた作品だ。映画出演123本目にもなる吉永小百合。数々の名作に出演を果たし、いまなお活躍し続ける日本が誇る大女優だ。また先日は初めてバラエティの“ロケ”に参加したことで、大きな話題になったことも記憶に新しい。今回は母として、女性としてさまざまな顔を見せる主人公の母・福江役を演じた吉永小百合の魅力を改めて紐解いていきたい。

日本を代表する俳優として1960年代を駆け抜ける


吉永は、日本を代表する俳優の1人だ。今なお“サユリスト”と呼ばれるファンからの熱く、根強い指示を集めている。そのキャリアは12歳のときに出演したラジオドラマ「赤胴鈴之助」からスタート。1959年に松竹の「朝を呼ぶ口笛」で映画デビューを果たした。

1962年には「キューポラのある街」「赤い蕾と白い花」と主演映画が立て続けに公開。「キューポラのある街」では日活の看板俳優の1人であった浜田光夫とタッグを組み、かつて人気を博した男性アクションもの路線が飽和状態であった日活映画に、「純愛と青春」という新たなエッセンスを加えて新しい風を呼び込んだ。

また「赤い蕾と白い花」では主題歌「寒い朝」を歌唱してレコードデビュー。今でもカラオケの定番曲として歌い継がれる橋幸夫とのデュエットソング「いつでも夢を」が300万枚以上の大ヒットを記録し、大スターとなった。当時のファンにとっては必須アイテムであったブロマイドは、あまりの人気から店頭に並ぶや否や早々に完売。1960年代には年間売上実績で1位を3度も獲得している。

(C)1974 松竹株式会社


若さだけが全てではない、年齢を重ねる美しさを体現した活動

(C)1970 松竹株式会社


現代よりも年を重ねることへの風当たりが強かった昭和の芸能界。名俳優の原節子が引退を発表した際には、理由として「老いていく姿を人目に晒したくないと考えていた」という説が流布されたほどだった。

1960年代にはアイドル的人気を博し、松原智恵子和泉雅子と“日活三人娘”、浅丘ルリ子らと共に”パールライン”と呼ばれた吉永だったが、流れ星のように儚い“若さ”に拘泥することはなかった。

1975年、1977年には五木寛之原作の映画「青春の門」シリーズに出演。大正時代の筑豊炭田を舞台に、日本人の心の原点と、朝鮮戦争を転機とした戦後の歴史の意味を探る骨太な作品だ。吉永はそれまでの清純派イメージを覆すかのように、体当たりの演技に挑戦。見事いままでのパブリックイメージを覆し、“純愛と青春の若手俳優”からの脱却を果たした。

1985年には「おはん」「天国の駅 HEAVEN STATION」で「日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞」を受賞。市川崑監督「おはん」では、うだつの上がらない夫をもう一度振り向かせようとする一途でしたたかなおはん役、「天国の駅 HEAVEN STATION」では死刑囚として裁かれた林葉かよ役を演じ、演技力と表現力の幅広さを見せつけた。

2000年代に入っても出演作は途切れない。紫式部役を演じた「千年の恋 ひかる源氏物語」、「第58回ベルリン国際映画祭」コンペティション部門に出品された「母べえ」、初のプロデュース作品「ふしぎな岬の物語」などが公開された。重ねた年齢とともに数々の役柄を魅力的に演じ、そのキャリアはますます彩りを増していく。

いまだに透き通るような存在感とエネルギッシュな表現力は衰えを知らない。年齢という枠を超え、2008年に公開された映画「母べえ」では、志田未来の母役を見事務めあげた。映画出演本数は100を優に上回るという創作への挑戦心が、彼女の年齢を美しく磨き上げたのだろう。

(C)2007「母べえ」製作委員会
下に続きます
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吉永小百合 (出演), 二宮和也 (出演), 黒木華 (出演), 浅野忠信 (出演), 加藤健一 (出演), 広岡由里子 (出演), 本田望結 (出演), 小林稔侍 (出演), 辻萬長 (出演), 橋爪功 (出演), 山田洋次 (監督)
松竹
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