声優歴35年の大ベテラン、洋画ではスティーブン・セガールの吹き替え、アニメ「ルパン三世」シリーズでは“次元大介”の2代目声優などを務める大塚明夫。そんな大塚が、8月よりスタートした「スター・ウォーズ」の最新作となる実写ドラマ「スター・ウォーズ:アソーカ」(毎週水曜、ディズニープラスで独占配信中)で吹き替え声優を務めている。同作の主人公は、アナキン・スカイウォーカーの唯一のパダワン(弟子)だったアソーカ・タノ。時代は帝国崩壊後だ。銀河に迫る新たな脅威に、伝説の“元ジェダイ”アソーカが立ち向かう。ファンにはたまらない新たなストーリーで大塚が演じるのは、こちらも“元ジェダイ”の新しい悪役ベイラン・スコール。その声で多くの人を魅了し続ける大塚について、改めて振り返る。
代表作多数!声優歴35年のベテラン
大塚といえば、声優歴35年のベテランで代表作は枚挙にいとまがない。スティーブン・セガールやニコラス・ケイジの吹き替え作品は多数。この2人の吹き替えは既に大塚の声でないと違和感を覚えてしまうほど。
また、アニメのキャラクターでは、ブラック・ジャックや「HUNTER×HUNTER」のウボォーギン、「僕のヒーローアカデミア」のオール・フォー・ワン、「バキ」の範馬勇次郎、「紅の豚」のドナルド・カーチス、「ONE PIECE STAMPEDE」のマーシャル・D・ティーチなど、主役だけでなく主要キャラも多く担当し、さまざまな役を演じながらもそれぞれに違った特徴を持たせつつ、しっかりと“大塚らしさ”も感じさせてくれる演技で楽しさと安心感を与えている。
そんな彼の輝かしい経歴の中でも、特に異色な役が「ルパン三世」の次元大介だ。次元といえば、1971年のアニメ放送開始から50年以上にわたって小林清志が務めてきた大役で、小林の勇退に伴い後任という形で2021年から担当しているのだが、誰もが「次元大介=小林清志の声」というイメージにとらわれている中、見事に演じてしっかりと小林のバトンを受け取っている。
次元大介の声は大塚明夫に
この次元役で見られる大塚のすごさは、他のキャラクターを演じている時には見られないもので、大塚の底なしの演技力の深淵に触れることができるといえる。というのも、視聴者としては無意識にどうしても「次元大介=小林清志の声」という呪縛からは逃れられないのだが、なかなかどうして大塚が演じる次元に全く違和感を覚えないのだ。
声はもちろん違うし、細かな息遣いも違う。しかし、違和感は全くない。それは、小林の次元とのギャップを演技力で埋めているからに他ならない。小林が次元に宿らせた“魂”を、持ち前の演技力でしっかりと再現してくれているからブレがなく、違和感なく視聴者の心に入ってくるのだ。
それを念頭に、先述した大塚が演じてきたキャラクターたちを振り返ってみると、そのほとんどが心に強い信念を持ったキャラクターたちばかりであることに気付く。主役はもちろんだが、主要キャラというのは彼らなりの信念があり、強い思いを持って主人公と対峙(たいじ)しているからこそ主役と並び立てる。大塚が声と同時に“魂”までも吹き込んでいるからこそ、生き生きと瑞々しく作品の中で生きているのだ。
今回のベイラン・スコール役も“元ジェダイ”の新しい悪役として彼なりの強い信念があるに違いない。その“魂”を大塚がどのように吹き込んでいくのか、ストーリーにも増して楽しみだ。必ずや「スター・ウォーズ」ファンに大きなインパクトを残してくれるに違いない。
◆文=原田健
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