俳優の池松壮亮、森田剛が9月4日、都内で行われた映画「白鍵と黒鍵の間に」(10月6日[金]より公開)のプレミア上映イベントに出席。撮影中の印象に残っている出来事や、諦められない夢について語った。イベントには、高橋和也、冨永昌敬監督も登壇した。
演奏も担当したが「弾くなんて言わなきゃよかった」
同映画の原作は、ジャズミュージシャンで、エッセイストの南博氏の「白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-」。昭和末期の夜の街・銀座を舞台に、未来に夢を見る博と、夢を見失っている南という二人のピアニストの運命が大きく狂い出す一夜を描く。池松が一人二役で博と南を演じ分け、森田は、博と南を翻弄する刑務所からシャバに出てきたばかりの謎の男・あいつ役を務めた。
同映画に参加した感想を求められた池松は「楽しかったです。誰にも似ていない独創的な映画技法を感じられて、冨永作品にどっぷり浸かれました。イマジンやメタファー、ファンタジックにまみれた作品になっていて、満足しています」と胸を張った。
ピアニスト役を演じるにあたり、演奏も担当したという。「弾くなんて言わなきゃよかったですね(笑)。『やります』と言って後悔するタイプなんですけど、伸び悩みました」と苦笑した。続けて、ジャズメンを演じる心境について「元々好きなんです。父親がジャズ好きということもあって、ジャズがずっと流れているような家庭で育ったので。冨永さんほど詳しくないですが、パーソナルなものを一緒にやれてよかったです」と口にした。
謎の男・あいつを演じた森田は、現場で印象に残っていることを問われ「冨永さんによる様々な演出があって、怖かったです。何を言い出すかわからない感じというか。ずっと緊張していました」と吐露。共演者に胸中を打ち明けなかったのかという質問には「いっぱいいっぱいでした」と答えた。
苦労したシーンについては「池松くんとの二人三脚」と森田。「一生忘れられない思い出になりました。その後はズボンも脱げて、武器も転がってという。すごく難しいシーンでした」と振り返った。脚本上では二人三脚をする予定はなかったそうだが、撮影当日に急遽「二人三脚をしたら面白い」という理由で実施することに。森田は「得意である二人三脚を披露できたっていうのは、本当にうれしかったです」と笑顔を見せた。
すると、池松が「小道具さんが早めにセットしちゃって。ベルトで(足を)結ぶんですけど『早すぎるだろ』って。待っている間もずっとくっついていて。その間森田さんが手を離してくれなかったんですよ。カットがかかっても。リリースされなくて何も言えずにいたんですけど、前を見ながらぼそっと『離さないよ』って言われて、ドキドキしました」と撮影中のエピソードを紹介した
池松「東京の花火大会に行ってみたい」
また、同作品の内容にちなみ、諦められない夢についてトークを展開。池松は「地方出身で、東京に出てきて15年くらい経ったんですけど、毎年東京の花火大会に行ってみたいと思っています。今年ももう逃したのかな」と話した。
森田は「大きい家に住みたいですね。小さい時から大きい庭がある大きい家に住みたいっていう夢は合ったような気がして。好きな植木を植えて、それを見ながら死んでいきたいですよね」と述べていた。
◆取材・文＝大野代樹
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