コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、ピッコマにて連載中の神泉せいさん原作・EDOさん作画による「宮廷魔導師見習いを辞めて、魔法アイテム職人になります」。
この作品は「エリートの肩書きを捨ててスローライフを始める話」として、2023年9月8日にX(旧Twitter)にて投稿されると、瞬く間に1万以上のいいねを集めて話題になった。このポストには「アニメ化してほしい」「ガチで面白い」などのコメントが殺到。この記事では作者の神泉せいさん・EDOさんに、作品のこだわりなどについてインタビューを行った。
孤独なイリヤに突きつけられる究極の選択
宮廷魔導師見習いとして王宮に仕えるイリヤは、歴の長い魔導師でも作れる者が少ないとされる回復薬をたった1日で軽々と作ってのける凄腕の少女だった。
しかし宮廷魔導師の大半が貴族出身。庶民出身のイリヤへの風当たりは強く、宮廷内で肩身の狭い思いをしていた。そんなある日、魔導師長から優秀さを買われ、正式に宮廷魔導師になることを打診される。喜んだイリヤだったが、宮廷魔導師になるには一つ条件が。それは……
「魔導師長の愛人になること」
思い悩むイリヤ。そんな中、危険な任務に派遣されることになった。
果たしてイリヤの運命は……!?驚きの展開が待ち受ける。
作画・EDOさん「目標はやっぱりアニメ化!」
ーー『宮廷魔導師見習いを辞めて、魔法アイテム職人になります』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
神泉:以前からオリジナルファンタジーを書きたくて、色々想像していました。実は『地獄の侯爵と契約したので、故郷を探す旅に出ます』という作品の方を先に考えていたのです(この作品はカクヨムで連載し、既に完結しています)。でもいきなり冒険ものは難しそうということで、その世界観を土台にして、当時ハマっていた錬金術や回復アイテム作製をする主人公で、お話を作ることにしました。
EDO:担当編集さんからコミカライズのお話をいただき、原作小説を送っていただいたのがきっかけです。自分はあまり小説やファンタジーというジャンルに触れてこなかった人間なのですが、まず最初に表紙イラストの美麗さにグッと惹かれて、そこから作品の世界観にどんどん引き込まれていきました。読み進めて行くうちにキャラクターを好きになっていき、是非コミカライズを担当したい!という気持ちになりました。
ーー本作は1万件以上のいいねを獲得しています。多くの反響を呼んだことについて率直な感想をお聞かせください。
神泉:率直に嬉しいです。マンガ第一話の見開きが一枚の絵画のようで、背景も美しくて、とても目を引きますよね。ありがたいことに、カクヨム連載の原作まで読みに来てくださった方も多かったです。
EDO:Xで広告を出していただいたのですが、予想以上にたくさんの方に読んでいただけて反応をいただけたので嬉しかったです。
ーー今作を創作するうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
神泉:魔法の詠唱や、悪魔です。悪魔は悪魔辞典や、一部は悪魔とされる前の、神様時代のエピソードも踏まえて設定を作ったりしています。実在する護符や、黒魔術的なものを参考にしたものも出てきますよ。詠唱は、「深き十字路の名もなき者、深淵の霧を吹かせて満たしたまえ……」で魔術女神ヘカテをイメージしたように、神様由来のもの、「ヤグルシュよ、鷹の如く降れ」のように神話由来のものなどもあります。これはバアル神話なので雷です。「白き闇夜に氷結の褥を、目覚めを知らぬ眠りを与える。世界よ、沈黙に沈め」は、ニヴルヘイムのイメージから作った魔法で、気に入っています。「雲よ、竜の鱗の如くあれ」は、羊雲を眺めていて「異世界だったらどう例えるかな~」から、詠唱に加えました(笑)。そんな感じで魔法を作ってます。
EDO:とにかく原作小説を何度も読み込んで、設定や世界観を崩さないようにこだわりました。特に序盤の第1・2話は原作と構成をガラッと変えていて、漫画として楽しめるように担当さんと何度も練って作りました。(原作の神泉先生や原作ファンの方々にも喜んでいただけて、温かい感想もいただけたので嬉しかったです…!)この作品は登場キャラクターがたくさんいるのですが、それぞれのキャラクターデザインにもこだわって描いているのでそこもぜひ注目してほしいです!
ーー今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
神泉:まずマンガの方を。キャラが表情豊かでみんな素敵です!幼女時代のイリヤがベリアル殿の顔をお絵描きして、ドヤ顔しているのとか、とっても可愛いですね!あとはイリヤがベリアル殿にぺこぺこしている姿が、微笑ましくて好きです。冒険者パーティーであるイサシムの大樹のメンバーのラウレスが、モンスターに空中に放り出されたのをベリアルが面倒そうにキャッチして、ラウレスがべリアルになれなれしくして怒られるまでの流れも好きです。
小説の方は、第二部の最終戦、地獄の王戦に思い入れがありますね。作中一番の戦闘だと思います。やっぱり悪魔はいいですね!カクヨムの連載339話の猫の宿の「にゃ、小悪魔ちゃん、お部屋で遊ぼう!」と、部屋に押しかける従業員ケットシーとか気に入ってます。こう…コレ人間がやったらアウトだな~っていう感じで、種族の違いが出せた気が。マクシミリアンみたいな小悪党とか、地獄の医官のようなクセの強いキャラとイリヤ達のやり取りも、楽しく書いています。変人が好きなのだろうか(笑)。
EDO:一番印象的なのは、第9話でベリアルがイリヤに本音を吐露するシーンです。普段はクールなベリアルの"イリヤにもっと頼られたい"という本音の部分が見えて、二人の距離感が近くなったのを感じられて好きなシーンです。他にも、ベリアルがイリヤを抱いて償おうとするシーンは二人のすれ違いっぷりが面白くて好きですし、子供時代イリヤちゃんとベリアルのやり取りは全部愛おしいですね。笑
ーーご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
神泉:現在、カクヨムの『宮廷魔導師見習いを辞めて、魔法アイテム職人になります』では、第五部「賢者の石編」を連載しています。ただ、賢者の石の作り方がまだ決まらず。これをしっかり書き上げることが、目標です。小説サイト、カクヨムにおいて他にも小説を掲載しています。現在は『元聖女です。お店を始めたら、常連客が魔性の者ばかりなんですが!?』も、並行して連載しています。「強欲聖女」というコンセプトが気になった方は、是非あそびに来てください。吸血鬼も出るよ!更なる書籍化も目標です!
EDO:目標はやっぱりアニメ化!です!メディアミックスに憧れているので、自分が携わった作品がアニメやフィギュアになったら嬉しいだろうな~、と想像したりしています。今はとにかくたくさんの人に作品を知って読んでもらいたいです!
ーー最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
神泉:いつも応援ありがとうございます。本作は来年でカクヨム連載5年になります。これからも途切れないよう、ネタがないとぼやきつつできる限り頑張りますので、コミカライズともどもよろしくお願いします。書き下ろしや追加要素もありますので、小説版の書籍も買ってね!(笑)
EDO:原作小説が長く続いて愛されている作品なので、コミカライズ版でも長く続けられるように頑張っていきたいです!これからもイリヤとベリアルの冒険を一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。
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■作者X(旧Twitter): 神泉せい[@niyazside]/ EDO[@_E_D_O]
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