すいと妹・蕾に共通する何かを見た公文
すいをモデルにした作品の第1巻が完成し、編集長の久美はサイン会をしたいと考えていた。しかし、「ストレスの9割は対人関係です。なぜ敢えて他人と接触しなければならない」と、人前に出ることすら拒んできた公文はもちろんサイン会の提案を拒否。
前回から登場したオレンジ色の髪の少女・アガサ。彼女は公文の妹・蕾(白石聖)で、母親とその再婚相手を包丁で刺し、医療少年院に送られたことがあり、その後も自傷行為を繰り返すため、現在は病院に収容されている。
10年前、妹・蕾の見舞いに行った帰り道に、公文はすいと雨宮の事故現場を通りかかり、2人を病院に連れていった。大きな事故でパニック状態になっているすいと、事件を起こしてしまった妹・蕾。2人が抱える心の傷に公文は共通する何かを感じたのだろう。
妹の蕾を見守るのと同じように、10年前からすいのこともずっと気にかけてきたに違いない。
すい、アガサと対面「あなたは悪くない。ただ優しくて弱かっただけ」
公文は実家を離れていたため、蕾が虐待を受けていたことに気づかなかった。気づいた時には蕾の心は壊れてしまっていて、手遅れ状態だと思った公文は“アガサ”という別人格を蕾に与えることにした。現実逃避ではあるが、蕾を守る唯一の方法だと思って。
“スマホの盗聴”を盾にして、父・丈治と編集長・久美にすいは“アガサに会いたい”とお願いをする。公文に内緒で、久美はすいを蕾のいる病院へと連れて行った。“こもりびと”だった自分を公文が外に連れ出してくれた。だから今度は自分が蕾を外に連れ出してあげたい。そんな思いもあったのだろう。
「あなたは悪くない。ただ優しくて弱かっただけ」と蕾に話しかけるすい。蕾は発作を起こしてしまい、すいは病室から追い出されてしまうが、それでも蕾を助けたいと訴え続けた。
すいの言葉が公文を動かしサイン会を開催するが、公文が襲われる事件が発生
公文に会ったすいは、10年前のことを思い出したと伝えた。そして蕾の話になり、公文は「これは家族の問題です」と言って、”他人”のすいに関わってほしくないという考えを話した。それを聞いたすいは、「でもあなたは私に介入した。私と父、家族の問題なのに。でも、感謝しているんです」と返した。
他人に関わり、“こもりびと”だった自分を救ってくれた公文。その公文に感謝しているすいは、蕾を救い、そして蕾をそのような状態にさせたと苦しんでいる公文も助けたいと思っていた。
しかし公文は、蕾にとってオレンジウイッグのアガサがお守りになっていて、そのアガサが“公文竜炎”にとってのお守りになっているとすいに話し、「私は可哀想な妹を書いて成功した。物書きの性(さが)だとしてもひどい行いだ。悪魔に魂を売り渡したと言ってもいい」と自戒の念を込めて語った。
「公文さんこそ“こもりびと”じゃないですか。もっといろんな人と会わないと」と言うすいに「ストレスの9割は対人関係です」と自身の考えをここでも伝えるが、すいは「でも1割は素敵なことがあるかも」と。
ベストセラー作家の公文竜炎でなく、本名の”三島公平”自身に訴えかけるように話すすい。その思いが結果的に公文を動かしたのだろう。公文は、頑なに拒んでいたサイン会を開催した。
サイン会は長蛇の列になるほどの盛況ぶりだったが、オレンジウイッグの少女(山之内すず)に「どうして私を書くの?」と言われ、刃物で襲われる事件が発生する。思いもよらなかった急展開。次回、最終回でどんな結末を迎えるのかが気になる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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