源内と意次は互いを思い合う
源内は「赤面疱瘡」が元はクマの病気であることと、その病気が何かをきっかけに人間にも感染するようになってしまったのではないかという仮説を立てる。その仮説に基づき、源内は青沼らに「赤面疱瘡」にかからないためのサボン(石鹸のようなもの)を作ることを提案し、その方法を考えるように協力を依頼する。
生き生きと話す源内と、その源内を見つめてほほ笑む意次に、信頼関係が垣間見えたがその後のシーンではよりその関係が明確に見えた。どこか様子のおかしい源内に気が付いた意次が、何か気になることでもあるのかと問うと、源内は「男は蘭学を学べていいなって」と悲しそうに打ち明ける。
源内が秘めていた悲しみや悔しさをひしひしと感じとっていた意次はいつか女性の源内も蘭学が学べるように、今ある蘭学を学んでいる場所を守るべきであり、もっと力をつけねばならないと決意を口にする。
意次が決意を新たにするこのシーンでは、源内の肩越しに意次の横顔が映されており、源内の目線での意次を見ることができた。源内目線の意次は美しく、輝く太陽のようだった。その意次の姿を見るたびに、源内は何度も意次にほれ直し、自分の中にある悲しみや悔しさを昇華させていたのだと悟った。
意次のために命を懸ける源内の覚悟
意次へ恨みを向ける吉宗の孫・定信が、意次の元へ「大奥での蘭学の抗議を中止せよ」とやって来る。最初は意次が冷静に対応する中、源内は「さすがは田沼さま」と言わんとばかりににこにことしていたが、定信が「私が憂いているのはそなたの『異国好みと金好き』じゃ」と発言した瞬間、その表情は一変する。
源内は自分よりもはるかに身分の高い定信に気後れすることなく、「定信が吉宗公に会ったことがないこと」を指摘。さらに早口で捲し立て、「源内、よしなさい」と止める意次を制し、あおりスキルをこれでもかと発揮。
意次のために命を懸けている源内だからできた行動に、ひやひやしながらも、その勇ましさに内心すっきりとした気分になる。一方で、このことがきっかけで、意次が定信の恨みをさらに買い、何かが起こるのではないかと不穏な空気も流れるシーンとなった。
意次から源内に与えられた褒美
「赤面撲滅」に近づいた手柄を立てた源内は、意次に褒美として「口吸い」をねだる。それは初めて出会った時に願ったことでもあり、数年越しに願った褒美であった。「無理」だと分かりながらも、わずかな期待と本音を織り交ぜた源内の切ない発言と、それを感じ取った意次のスマートな「口吸い」に胸が高鳴った。
しかし、そんな胸キュンシーンは長くは続かなかった。幸せの絶頂にいた源内に、悲劇が待ち受けていたのだ。歩いていた源内は、男たちに囲まれてしまう。男たちから逃げる姿と、弟との死をきっかけに男として生きる決意をし、未来へ走り出す源内の姿が、悲しいことに重なってしまう形となった。
源内の過去や、原作でも大きな話題になった源内と意次の美しすぎるシーンの再現があったことから、X(旧Twitter)では、反響が寄せられる一方で、「ひどすぎる」「胸が痛い」と源内に降り掛かった突然の悲劇を嘆く声も多く上がり、「#大奥リアタイ」とともに「#源内さん」がトレンド入りを果たした。
◆文=ザテレビジョンドラマ部