コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『やぶさかではございません』をピックアップ。
LINEマンガ(ジーンLINEコミックス)にて連載中の本作は、初恋のトラウマによって恋愛できなくなったアラサー女性とアルバイト先の年下イケメンとのじれったい恋愛模様を描いた物語である。2023年10月5日に作者のMaritaさんが第1・2話をX(旧Twitter)に投稿したところ6000以上の「いいね」が寄せられ、話題を集めている。この記事ではMaritaさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
"距離感バグ"な年下イケメン言動に「ドキッ」
初恋の時のトラウマが原因で相手の好意が信じられなくなった不思議(ふしぎ)さんは、30年以上生きてきた今でも恋ができないままでいた。仕事や趣味に没頭するも心にぽっかりと空いた穴が埋まるわけではなく、「人並みに恋をしたい」と虚しさが募るばかりだった。
今の状況から心機一転したい、そんな想いで新天地での生活を始めた不思議さんが見つけたのはあるサイレントカフェ。ふと気になり入店すると、お客さん同士の会話はおろか店員さんとの会話もない静かな空間が広がっていた。
カフェを気に入った不思議さんが会計をしようとすると、アルバイトを募集していることに気付く。思い切ってカフェで働くことにした不思議さんは仕事もでき、他のスタッフからも重宝される存在となっていた。
そんなスタッフの中に1人、人との距離感がバグっている年下イケメンのスタッフ・上下(かみしも)くんがいた。いつも通り不思議さんが休憩していると、目の前にいきなり上下くんが現れる。普段業務連絡しかしないためオドオドする不思議さんだったが、「これからはいっぱい話しかけます」と優しくしてくれる上下くんにはなにか思惑があるようで…。
距離感がバグっているイケメンの行動に振り回される女性の描写に心を奪われる読者が続出した本作。X(旧Twitter)上では「きゅんきゅんだ」「全人類読んでくれ…」「めっちゃてぇてぇ」「私もこんな所で働きたい!」「登場人物皆好き」「内心ヒロインに振り回されてる上下くん見てるの楽しすぎる」など多くの声が寄せられ反響を呼んでいる。
キャラ単体を覚えて好きになってもらえるようにあえてリアリティのない名前に 作者・Maritaさんが語るこだわりと創作の背景
――『やぶさかではございません』を創作したきっかけや理由についてお聞かせください。
今は投稿自体削除してしまって見られないのですが、もともと旧Twitterに投稿していた数枚のイラストをもとに制作しています。キャラデザやストーリーはリメイクしていますが、上下と不思議という名前や性格的なものはそのまま使っています。また、今作は初めての商業連載なのですが、一度王道の少女漫画をしっかり描いてみたかったのもあってラブコメに初挑戦しました。
――本作は、恋愛にトラウマのある不思議さんと、やたらと距離感の近いイケメン・上下くんのじれったい関係が印象的です。描く上で特にこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたらお聞かせください。
描く上でのこだわりは、2人ともトラウマや悩みを抱えつつも周りの優しい人たちのおかげで強く楽しく過ごせているところです。不思議さんも上下くんも抱えているものは個人の問題ではありますが、この2人に限らずひとりでは乗り越えられないものが多く存在しているので、いかに周りの環境が大切なのかを見ていただきたいです。あとはこれからも暴走していく上下くんのキャラ崩壊も見どころです。
――本作の中でMaritaさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフなどがあれば理由とともにお聞かせください。
第3話の全てです。第2話までの不思議さんとの日々を上下くん視点で見れる回で、おそらくここで上下亮という男のミステリアスさや読み手がそれまでに抱いていたイメージが一掃される大事な話ですし、上下くんが心の内でははっきりと不思議さんへの好意を自問自答しているシーンが特に人間らしくて何度も読み返すほど好きです。
――Maritaさんは本作以外にも『雪と墨』(KADOKAWA)などさまざまなジャンルの作品を手掛けていますが、創作全般においてのこだわりや、物語を創り上げる上で特に意識している点があればお聞かせください。
まず長編漫画を書く際は最終話を決めてから描き始めています。そうすることできちんと完結できるものが作れるからです。それから私が描く漫画は完全創作なので、あえてあまりリアリティのある名前にしていません。これは他作品と被らない印象付けをして、きちんとキャラ単体を覚えて好きになってもらえるようにしたいからです。大半は読み進めたら慣れるものですが、慣れないままの方には申し訳ないとは思っています。
――今後の展望や目標についてお聞かせください。
『やぶさかではございません』に関しては不思議さんと上下くんのイチャイチャやラブラブな日常をもっと描き続けたいですし、読者さん達にも長くたくさん楽しんでいただきたいです。
あとは担当編集さんともいつも話しているのですが、最終的には自分の描いた作品がドラマや映画などなにかしらメディアミックス化していただけたらいいなと思っています。今も日々経験したことのない施策や体験だらけですが、さらに楽しいことが起こることを夢見ています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方々へ、メッセージをお願いします。
いつも全力で応援していただきありがとうございます!頂いた応援には真心を尽くし、絶対に下がることなく上げ続ける熱意を作品に込め「読むのが楽しいマンガ」にしてお返ししていきます!これからもよろしくお願いします。