コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“ちょっぴり変わった常連客”を描いた漫画『クリーニング店のお客さんのおはなし』をピックアップ。
「pixivコミック」で『アキはハルとごはんを食べたい おかわり！』を連載中の漫画家・たじまことさんが、2023月7月30日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、3.5万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではたじまことさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
“いつも何かをくっつけてくる”常連客の正体は…
主人公は、とあるクリーニング店の女性店員。お店には毎週来る無口な男性の常連客がいて、彼はいつもYシャツをクリーニングに出すのだが、そのシャツには“オナモミ”など必ず何かがくっついているのだった――。
ある時常連客はいつものように来店し、店員にYシャツを渡す。まっさらなYシャツだと思いきや、今回は“イチョウの葉”がくっついていた。それを見た店員は思わず、「グラデーションが綺麗」「これはラッキー葉っぱです！」と客に話しかける。
ついテンションが上がって声をかけてしまった店員は、“なにをペラペラと！”と我に返って咄嗟に笑ってごまかす。すると常連客は顔を赤らめると同時に、突然頭から“こがねいろに輝く動物の耳”があらわれる。
その耳を見て唖然とする店員をよそに、客は「し…失礼します！」と言って慌てて去って行く。
その後、常連客は心を落ち着かせようとしながらも“初めて目が合った――!!”と喜びを噛みしめていた。そしてハッと思い出したように、スマホのインカメで自分の顔をチェックして、“良かった、解けてない”と安堵。どうやら、まだ自分の正体がバレていないと思い込んでいる様子だった――。
本作を読んだ人たちからは、「不愛想な人かと思ったら…そういうことだったのか！」「まさかの展開でビックリした」「ドキッとした拍子に耳が出ちゃった常連客がかわいすぎる」「常連客と店員のかわいらしいやりとりに癒やされた」「絵がとってもきれい」「動物と人間のほっこりする話だね」「人間に恋してるキツネさんがピュアすぎて好き」などのコメントが寄せられている。
作画の際には「同じ表情が連続で出てこないように意識しています」
――『クリーニング店のお客さんのおはなし』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
知人との雑談で、「クリーニングに出すスーツに毎回落ち葉をくっつけてくるお客さんがいる」という話を聞いたのがきっかけです。
そこから“そのお客さんは実は人間に化けたキツネで、人間社会で働いてるんだけど疲れた時に大きめな公園の茂みで疲れを癒してて、その時に落ち葉がついてしまう――”という感じで想像を膨らまし、いつか漫画に描こうと思っていました。
ちなみにこの漫画をアップした際、「自分も仕事柄落ち葉をくっつけます」というリプライをいただきました。職種を聞けばよかったなと少し後悔しています。
――本作では、無口な常連の頭からふいに“耳”が出てしまうシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。
“キツネの男の子”は普段描かないような性格のキャラクターなので、動きや表情は少し考えて描写しました。また、見せたいコマを意識してコマのジャンプ率を大きめに取りました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
一番は“驚いて耳が出てしまった”シーンです。女の子から見ると、キツネの子は逆光になって黄金色の耳がキラキラとして見えると思うので、キラキラ感を意識しました。
キツネの子は、クリーニング店の女の子に片想いのような感情を持っているので、初めて目があって照れのような嬉しいような“戸惑いの気持ち”を表情や仕草に込めました。
あとはイチョウの葉のアップです。「イチョウの葉の黄色と緑のグラデーションやフリルのような造形は良いぞ！」ということを伝えたくて作画に込めました。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか？
私の場合は、担当さんとの雑談やリクエストだったり、自分がハマってるものから着想することが多いです。また描きたいシーンが先にあって、そこにストーリーを肉付けしていくこともあります。描きたいシーンは大体が大きいコマなので、わかりやすいと思います。
――たじまことさんの描くキャラクターは表情や仕草がとても丁寧に描かれている印象で、セリフがなくてもその時の感情が伝わってきました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか？
ありがとうございます！表情については、1話の中に同じ表情が連続で出てこないように意識しています。描いてて飽きてしまうというのも理由としてありますが、「表情のバリエーションがあった方が読む側も退屈にならないかな？」と思ってそうしています。
あと、キャラの服装はファッション誌を参考にしつつ頑張っています。『クリーニング店のお客さんのおはなし』で言うと、キツネの子は人間界のファッションがよくわかってないので「仕事で着ているYシャツと、寒いのでニット」といったようなちょっと野暮ったい印象にしました。
クリーニング店の女の子は“手芸が趣味”という裏設定があるので、ポンポンがついたちょっと変わったニットを着て手作りのピアスを身につけています。
――今後の展望や目標をお教えください。
時間が空いたらキツネの子とクリーニング店の女の子の話が描けたらと思ってます。また連載中の漫画も楽しんでいただけるように考えていきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！
いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます！またこの記事をきっかけに興味を持ってくれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ他の作品も読んでみてください！
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
