ひたむきに努力を続けて大輪の花を咲かせる
表舞台には立てずとも、映画が好きだったクァンが選んだのが“裏方”の道。南カリフォルニア大学の映画学部に入学し、映画制作について学び、その知識を生かして助監督を務めたり、武術指導、通訳などで映画に関わり続けた。「X-MEN」やジェット・リー主演の「ザ・ワン」にも関わり、木村拓哉出演で話題となったウォン・カーウァイ監督の「2046」には助監督として制作に携わった。
世界的な状況が変わり、アジア系俳優がハリウッドでも活躍する作品が増えていったことで、約30年ぶりに俳優業への復帰を決意したクァン。その背中を押してくれたのは2018年公開のハリウッド映画「クレイジー・リッチ!」だったという。監督はジョン・M・チュウ、主演はコンスタンス・ウーとヘンリー・ゴールディング。主要キャストをアジア系俳優で占めたこの作品は映画界を大きく変えた作品と言える。
そしてクァンの本格的な復帰作となったのは、2022年に公開された“エブエブ”こと「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」だった。この作品は「第95回アカデミー賞」で作品賞、監督賞、主演女優賞など7部門を受賞。クァンもその一つ、「助演男優賞」を受賞した。クァンは、ミシェル・ヨー演じる主人公・エヴリンの夫・ウェイモンドを演じている。
この作品には“マルチバース”が登場。「別の宇宙の夫」としてクァンは“違う人格”のウェイモンドを演じていて、その切り替わりにも目を奪われるし、アクションシーンも見応えあり。そういった“マルチバース”もドラマシリーズ「ロキ」と共通する部分があり、MCU好きにもササったのかもしれない。
ミシェル・ヨーとの再共演作も話題に
最近では、「エブエブ」で夫婦役を務めたミシェル・ヨーと再共演しているアクションコメディーシリーズ「アメリカン・ボーン・チャイニーズ 僕らの西遊記」(ディズニープラス)も話題に。ごく平凡な高校生活を送る若者ジン・ワン(ベン・ワン)が、新しいクラスメートの留学生と顔を合わせた新学期初日に、複数の世界がクラッシュして、中国神話の神々の戦いにいつの間にか巻き込まれていくという奇想天外な物語。この作品には、「エブエブ」でミシェル・ヨーとクァンが演じた夫婦の娘ジョイ・ワンを演じたステファニー・スーもゲスト出演していて、「エブエブ」好きにはたまらない作品となっている。
“オスカー俳優”とか“天才子役”などと形容されてきたクァンだが、それ以外にも出演したそれぞれの作品でしっかりと印象を残してきた。「ロキ」シーズン2でのウロボロスもまだ出番は多くないが印象的な出演シーンが多いので、今後後半に向けて彼が活躍する機会を楽しみに待ちたい。
「ロキ」シーズン2は、ディズニープラスで毎週金曜に最新話独占配信中。
◆文=田中隆信
![「ロキ」第1話より](https://thetv.jp/i/nw/1163614/12313019.jpg?w=1284)
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/loki
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