その人にフィットした笑いが一番面白い
――ADからディレクターになられたのはいつごろですか?
「『いいとも!』の次に、『SMAP×SMAP』のチーフADを1年ぐらいやって、その後ディレクターになりました。チーフADのころにお世話になっていた先輩の女性ディレクターが異動になったときに、木村拓哉さんが『これからはラリータとやりたい』と言ってくださったんです。木村さんは、とても気さくで話しやすい方なんですが、コントを作るときは真剣そのもの。僕らスタッフが考えたコンセプトを、自分なりに膨らませながら、真面目に一生懸命取り組んでくださるんです。その姿勢を間近で見ることができて、非常に勉強になりましたね。その意味では、木村さんが僕をディレクターにしてくれたと言っても過言ではないと思っています」
――名城さんが番組を作る際、一番に心掛けていることは?
「笑いに主軸を置いた番組においては、その演者さんに合った笑いの作り方をする、というのが僕の信条です。最近の視聴者の方々は、番組を見ているというより、“人”を見ているような気がするんですね。だから、その演者さんを面白く輝かせるためには、どんなやり方がベストなのか。例えば、木村さんだったら『かっこいい』という世間のイメージを逆手に取って、それをコントの“振り”に使ったり。やっぱり、その人にフィットした笑いが一番面白いと思うんですよ」
――そうなると、出演者とのコミュニケーションも重要になってきますね。
「ええ、それは大事ですね。どんな若手の芸人さんでも、間違いなく、僕らよりは多く舞台に立っている。僕らが一つの番組にかける時間って、収録がだいたい月に2回ぐらいで、あとは会議とか編集ばっかり。もちろん、それはそれでテクニックが必要なんですけど、僕らがそんな作業をしている間も、芸人さんは人の前に出て、大勢の人を笑わせているわけですよね。笑いのスキルという意味では、そんな人たちに僕らが敵うはずがない。ですから、どんな芸人さんでも、『この人は自分よりも経験豊富なんだ』という敬意を持って接しています。年齢は関係ないですね。
あと、実は演出って、打ち合わせでしゃべっているときから始まっていたりもするんです。場を盛り上げて気持ち良く乗せて本番に向かってもらうのも演出だし、僕らがしっかりと方向性を示すのも演出。ちなみに、『オモクリ監督 ~O-Creator's TV show~』(2014~2015年フジ系)でご一緒したロバートの秋山(竜次)さんは、僕らスタッフに何でもはっきりと言ってほしいタイプ。こっちがどう思っているのかを伝えないと不安になるみたいです(笑)。ともあれ、いろんなコミュニケーションの形をうまく使い分けることが大切なんだと思います」