瀧山との出会い
腰の重い兄・正寧(浜中文一)に代わり家督を継いだ正弘は、男だらけの職場で疲弊していた。そんな中、正弘はひょんなことから訪れた芳町で陰間の瀧山に出会う。
学問に励み、自分のやりたい事が自由にできることを夢見る瀧山と話すことで、家督を継いだ日のことを思い出す正弘。ため息ばかりついていたら罰が当たるという正弘は、知らず知らずのうちに、自分で自分の首を絞めてきたのだろう。
その後、瀧山に話を聞いてくれた礼を伝え、店から出た正弘はどこかすっきりとした様子だった。その瞳には、もう一切の迷いはなかった。正弘との出会いが瀧山の運命を変えていくように、瀧山との出会いが正弘の運命を変えたのだ。
家定の元へ駆け付ける正弘
寺社奉行から老中へ出世した正弘は、家定に身代りとなる覚悟で仕えると誓う。その日から、家定に何度も呼び付けられ、ともに菓子を作ることに。最初は困惑していた正弘だったが、次第に家定との仲を深めっていった。
そんなある日、正弘は家定からの呼び付けに遅れてしまい、家定からきつく叱られる。その際に、家定の表情を見て何かがおかしいと気が付き、探りを入れることを決めた正弘。
家定が幼き頃より実父である家慶からの虐待に苦しんでおり、自分と菓子を作る約束をすることで、家慶から逃げていたことを知る。真相を知り、家定のことをちゃんと理解できていなかったことを悔しく思った正弘がぐっと両手を握るシーンには胸が締め付けられた。
正弘が家定と瀧山の運命を変える
正弘は、家定を守るために大奥を作ることを考える。正弘は大奥を作るまでの間、さまざまな苦労をしたかもしれないが、そのおかげで、家定と瀧山の運命を変えることになる。
家定は、大奥を素直に喜べずにいた。しかし、瀧山から大奥にいる男らは、正弘が家定を守るために集めたと聞くと、涙を浮かべる。助けなどずっと昔に諦めていた家定が、正弘によって救われ、家慶に立ち向かうことを決めた貴重なシーンとなった。
一方、瀧山は大奥に上がることを一度は断るものの、正弘の説得により大奥に上がることに。その後は、持ち前の器量と権勢を発揮し、大奥の男らを束ねていく。夢に真っすぐな陰間の瀧山も美しかったが、大奥総取締として活躍する姿はもっと輝かしかった。
家定と瀧山の運命も、正弘のすばらしい忍耐力がなければ何も変わらなかったように思う。そして、家定と瀧山がこれからの正弘の行く道を助けてくれることに期待したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※高嶋政伸の「高」は正しくは「はしご高」
NHKエンタープライズ
発売日: 2023/08/18