コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、、三森みささんの漫画「心の中の大人と子ども」だ。
作者である三森みささんが10月29日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.9万件を超える「いいね」が寄せられ、Twitter上では「身に覚えがある」「背中を押された」「まさにこの状況」「すごく救われた」「自分も相談しようと思った」などの反響の声が多数寄せられている。この記事では三森みささんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
漫画「心の中の大人と子ども」あらすじ
カウンセリングを受けに来ているみさは、カウンセリングを重ね、自分の行動が制御できないほどに楽しく明るいことばかりを考えるようになっていた。
インナーチャイルドの症状の1つであることから、今回は心の中にいる子どもに会いにいくことに。みさは、その子と一緒に遊んだり、抱きしめたりとさみしさを埋めてあげるように接する。そして目を覚ましたみさはあることに気が付く…。
三森みささんへのインタビュー
――「心の中の大人と子ども」のお話を描こうと思ったきっかけや理由があればお聞かせください。
トラウマ治療を受けた体験記の一環で描きました。昔から「自分の中にいる子どもを癒そう」とはよく言われていたし、知っていたのですが、実際にやってみてかなり衝撃をうけたんですよね。その衝撃も描いておきたかったのです。
――「身に覚えがある」「背中を押された」と話題の本作ですが、こだわった点などがあればお聞かせください。
親子関係に悩んだ人間は大人になってから、無意識に自分自身をいじめる傾向があるんですよね。親にされた扱われ方が大人になってから自分の扱いになる。心の中の問題だし、周りにも「ちょっと変わった人」と扱われるから、なぜこんなに自分が生きづらくて苦しいのかがわからないんですよ。だから自分をいじめることを絵にすることで心の和解がイメージできれば…と思いました。
―― 「心の中の大人と子ども」を読んで、「カウンセリングを予約した」との声や、「セルフカウンセリングをした」というコメントがありました。同じ悩みを抱えている方に三森さんが伝えたいメッセージをお聞かせください。
自分自身との和解が自力でできるようになるのって、ある程度ベースを組み立てないと難しいし、やはりプロの力を借りたほうが圧倒的に早いので、1人でやっても見えないとかできなくても、落ち込まないでほしいなと思います。
私も10年前から「インナーチャイルドを大切にするといい」ことは知っていましたが、9年間、どんなにイメージしても一切見えなかった。インナーチャイルドなんかいないんじゃないかな? と思っていたぐらいです。心の余裕が少しもてるようになってから、ようやく見えてきたけれど、どう扱えば分からず…。
今回心理療法を受けてようやく初めて対話できた感じですから。自分に厳しく、見えない自分を責めるというのがあるあるなので、できなくて当たり前なんだよ、落ち込まないで、と伝えたいです(笑)。
――三森さんが作品を描くにあたって心がけていることがあれば教えてください。
今回の作品はとにかくイメージ化にこだわっています。正直漫画に描いてることは、参考文献を読めばそのまんまのことが全部かいてるんで、目新しいことが描いてるわけではない。ただ、漫画のメリットはとにかく読みやすいこと。知識を持つことは力であり、治療にも必ず役立ってくれます。
けれども、私自身が病んでてしんどい時、文章を読むのもしんどく、必要な知識を手に入れることができませんでした。知らないがゆえに、病状を自分のせいだと思いこんでより苦しむことになりました。漫画は入門書にしかなりませんし、知識だけでは解決できないことはわかっています。
それでも、漫画だとイメージがあるので文献を読むより理解しやすく、何らかの事情で治療に行けない人も自分に何が起きてるのか最低限知っていただいて、自分の不可抗力な症状に苦しむ時間を少しでも減らしてほしいと思います。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
皆さんの応援メッセージにいつも支えられています! ありがとうございます! 心の問題は目に見えないことが多く、それゆえに出口も見えづらいものです。その中で私の偏った経験しか共有できず恐縮ですが、何かしらの糧になればうれしく思います。