コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は漫画家として活躍する若林稔弥さんの『わちゃわちゃした漫画描いた』をピックアップした。11月3日に同作がX(旧Twitter)上で公開されると、8000件以上の「いいね」を獲得。高校生のクラスメイト同士によるテンポ良く展開されていく内容が、読者から多くの注目を集めたようだ。
作者である若林さんにインタビューをおこない、同作が生まれたきっかけやこだわりポイントついて語ってもらった。
クラスのあちこちでドラマが勃発
幼い頃から時々霊感を発揮する尾崎は、クラスメイトの安達にガッチリと取り憑いている幽霊がとても気になっていた。
そんな安達に空手部の矢田がキックやチョップを加えているが、安達は「こんなもん何ともねえ」と涼しい顔。強がる様子の安達に、幽霊に取り憑かれて具合悪いことを知らずに矢田もまんざらではない様子だった。
一方、お金儲けが大好きな岸波は「幽霊とか見えたりしない?」と尾崎に話しかける。ギクりとしつつも話を聞いてみると、どうやら心霊現象でお金儲けをしたいよう。つい安達の方をみてしまう尾崎を、「安達君のほうに何か感じるの?」と岸波は見逃さない。隠そうとしていた霊感のことを話してしまうのであった。
さっそく「安達君具合悪いの?」と行動に移す尾崎。保健委員の立場を利用して安達を連れて出していく。2人っきりになったところで、急に尾崎は安達に近づいて壁ドンをおこない…。
読者からは「わちゃわちゃ感のおかげで一瞬で読み終わった」「尾崎さんの強力な一撃が爽快」などのコメントが寄せられていた。
ずっと少女漫画っぽいものを描きたいと思っていた
――『わちゃわちゃした漫画描いた』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
コロナが明けたのでコミティアに参加して何か出したいと思ったのがきっかけです。
前々から「少女漫画っぽいものを描きたい」という思いがあったため、描くものもすぐに決まりました。ただ僕の中で少女漫画といえば、子供の頃にアニメで見ていた『赤ずきんチャチャ』『こどものおもちゃ』など、コメディの印象が強かったんですね。自分も描くならそういうわちゃわちゃしたコメディ漫画だなと思って、キャラがたくさん出てきてわちゃわちゃする漫画を描くことにしました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
実はコミティアには別名義で申し込みまして、絵柄もなるべく少女漫画風にして参加しようと思ったのですが、絵柄を変えるのは思いのほか難しく、結果いつもと一緒になりました。コミティア当日も、事前告知一切無しで参加したのですが、通りかかった人には一瞬でバレましたね(笑)
ただ自分を一切知らない人にイベント会場で買ってもらうことを想定していたので、同人誌として一番売れる形を考えた結果、内容は「キャラがいっぱい出てくる4コマ漫画」にしました。キャラがいっぱいいるだけで楽しそうに見えますし、気軽に読めそうな空気が伝われば、とりあえず手に取って読んでもらえます。
そこから4コマ漫画で、ある程度のボリュームがあって、立ち読みでは最後まで読むのが難しいけど続きは気になる……というところまで興味を持ってもらえたら、買うか・買わないかの判断まで行けます。
WEB公開する上でも、4コマはサムネイルに強いところがあるので、スクロールされても目に留まりやすいんですよね。とにかく読んで欲しいので、媒体が変わっても読んでもらう方法はいつも考えています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
今回、あえて今の時代では微妙なセリフやアクションを盛り込んでいます。
女の子が男の子に一方的な暴力を振るうギャグとか、男の子が女の子のことを女扱いしてバカにするようなやり取りですね。昔はこういうノリがなんとなく受け入れられていましたけど、今の若い読者にはたぶんちょっとキツく感じると思います。
それをわざわざ盛り込んだのは、僕がそういうやり取りが性癖として好きだからなんですね。そのため、なんとか今の若い読者にもギャグとして受け入れてもらえるよう、表現をかわいくしてみたつもりですが、果たしてどうでしょうか…。
――安達君に憑いていた霊は終始抱き着いていましたが、やはり安達君を好いていたのでしょうか?
どうでしょう。そうなのかもしれません。霊の考えてることは僕にはわかりませんね。
――同作はシリーズ化する予定はあるのでしょうか?
今仕事で描いている作品が終わって、他に描きたいものがなければ、描いてもいいなと思いますね。一応各キャラの細かい設定は考えているので、描こうと思えば描けます。
――今後の展望や目標をお教えください。
「少女漫画っぽいものを描きたい」という思いはまだあるため、この作品に限らず、いろいろなものにチャレンジしたいと考えています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
既にお読みいただいた方、これからお読みいただく方、みなさんありがとうございます。現段階で続編のお約束などはできないのですが、楽しんでいただけた感想や、続編への要望をいただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。
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