<マイハル>ドラマPが明かす制作秘話 キャスト陣の個性や実際の関係性を脚本に還元「1位2位を争うぐらい良い空気の現場」
広瀬アリス主演、なにわ男子・道枝駿佑共演の火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)の最終話が12月19日(火)に放送される。同作は、やっかいな問題を抱えた30歳の主人公が、謎の大学生の一言をきっかけに学び直しを決意し、令和の大学生たちにもまれながら、恋に、勉強に、夢に奮闘する“セカンド・アオハル・ラブコメディー”。
昔から絶妙に「運」と「間」が悪く、学歴もお金もない主人公・白玉佐弥子を広瀬が、ミステリアスな“イマドキ”大学生・小笠原拓を道枝が演じる他、佐弥子や拓と同じ大学の工学部建築学科に通う学生役で伊原六花、飯沼愛、水沢林太郎、箭内夢菜、濱尾ノリタカらが出演。
また、佐弥子が勤めていた会社の先輩OLでよき理解者・根村眞子役のイモトアヤコや、飯沼演じる真凛の父親で、シェアハウス・“サグラダファミリ家”のオーナーでもある日向祥吾役の安藤政信らがストーリーを盛り上げる。
WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める塩村香里氏にインタビューを実施。脚本の作り方やキャスト陣の魅力、撮影裏話などについて話を聞いた。
北川亜矢子×広瀬アリスの化学反応「広瀬さんじゃなかったら成立しなかった」
――広瀬アリスさんのコメディエンヌっぷりが光る作品となっていますが、主演としての魅力を教えてください。
私が広瀬さんと初めてお仕事をしたのが、彼女が10代の頃だったと思うのですが、その当時はすごくおとなしい子という印象がありました。それから現在に至るまでいろいろなお仕事をされてきていて、最近は特にコメディーや群像物の中でとても輝いているのを感じていました。
あのときの彼女が、今このように成長したこの10年間を知りたいなと思ったんです。白玉佐弥子も10年間いろいろとくすぶってきて、いまやっと“セカンドアオハル”ではじけているわけですが、そこに広瀬さんがぴったり乗っかってくれるのではなかろうかと。
いざやってみると、コメディー要素のところは想像を超えてすごく楽しいシーンになりましたし、せりふのトーンや表情、繊細なお芝居が本当にお上手な方で、ラブシーンや1人で将来に悩んだりするシリアスなシーンをしっかりと演じていただけるからこそ、コメディーはコメディーで振り切ってもすごくバランスが取れると思っていて、これはやっぱり広瀬さんじゃなかったら成立しなかったドラマじゃないかなと思います。
特に、第1話は、脚本の北川亜矢子さんの書く面白いせりふやアクション、モノローグを、広瀬さんが全力のサービス精神をもって体当たりで演じてくださり、ものすごい化学反応が起きたと思いました。そしてそのときに、これをこの先も恐れずに続けてやっていこうという覚悟が固まりました。
どうしても第4話、第5話あたりからラブ線が強くなっていくストーリーなので、そうなったときに「あれ?これラブコメディーだったよね?」「第1話のときの白玉佐弥子どこ行った?」みたいなことになってしまうのは非常にもったいなく、皆さんもそこを期待してくださっていると思うので、ラブシーンを描くときも必ずラブコメとしてのオチをつけたいということは、脚本の打ち合わせのときも要所要所で話題になりました。
ともするとキスシーンの後、そのまますてきなシーンを描いてしまいそうになるのですが、「いや違う違う、それで終わっちゃ駄目だ!」というのが私たちの中でも結構テーマになっていて、例えば、第5話の“朝チュン”をシラスを持ってきた真凛に見られるとか、第6話のキスシーンを澄香が双眼鏡で覗いていたとか、そういうラブとコメディーのバランスみたいなものは、「マイハル」らしさだと思いますし、主演が広瀬さんだからこそ成立したことだと思います。
緩急やバランスを意識したストーリー展開で視聴者をとりこに
――佐弥子の家庭が裕福ではなかったり拓の家庭環境が複雑でも、全く暗さを感じさせず、常に明るいテイストで描かれている作品ですが、世界観のこだわりや気をつけているポイントがあれば教えてください。
“どん底OL・白玉佐弥子”というようなコピーで始まりましたが、どん底だってなんだって生きていかなくてはいけない。そのハングリー精神みたいなものは絶対に忘れたくないと思いながら作ってきました。
第1話では、ラブコメなのに全然ラブが始まらないことに対してじれったさを感じた方もいらっしゃったかと思いますが、そんなに裕福じゃなくても楽しく生きている家族であることを伝えたくて、家族のシーンをしっかりと描きました。
第8話で、拓が白玉家に行って「ああいう人たちの中で育ったから、『佐弥子さんは佐弥子さんになったんだな』って思った」というせりふがあるのですが、そういう家族の明るい設定を大事にしたことが、佐弥子のリアリティーにつながったと思います。
佐弥子のお金の事情や自分のキャリアやスキルが足りていない悩みは、家族に育まれたメンタルの強さだったり、ハングリーさや明るさ、前向きさみたいなものを前面に打ち出していくことでカバーしていけるキャラクターになるといいなと思って作っています。
拓に関しては、確かに家庭環境の問題だったり、父親とうまくいっていないこと、実は母親が亡くなっていることなど、重い要素しかないような男の子なのですが、自分の中のバランスを保つために一旦そういうネガティブ要素を全部排除して、やりたい建築に全振りしている人物像として描いています。
当初は、人付き合いをあまり濃密にしないキャラクターでしたが、そんな彼もサグラダファミリ家に来たことによって、少しずつ周りの愛情を知っていき、さらにそこに佐弥子が来たことによって、自分の感情をもっと外に出していいということを知っていきます。
第6話、第7話で、彼がこれまで排除していた部分が佐弥子によって引き戻されてしまい、視聴者の皆さんも少しびっくりされたかもしれないのですが、そうなったときにそのまま暗い過去をひきずるキャラクターでいくのではなく、佐弥子の力を借りて乗り越えていくキャラクターにしたいと思いました。
佐弥子のおかげで大爆発し、父親との関係にも変化が起きて、重い話にならずコメディーで突っ走っていけました。キャラクターに関してもストーリーに関しても、その緩急やバランスは意識して作っています。
ジェイ・ストーム
発売日: 2023/11/15